前編に続き、後編も私のキャリアを振り返りつつ、当時、どのような判断軸で転職したのか等紹介します。
▶前編はこちら
私のキャリアとしては、大きく4つの期に分ける事ができます。
1.外部専門家期
2.事業会社内プロフェッショナル期
3.事業会社のマネジメント期
4.事業会社の役員期
後編である今回は、3.事業会社のマネジメント期~4.事業会社の役員期について紹介します。
3.事業会社のマネジメント期
・株式会社LITALICO
LITALICOは、面接時に「現在困っている事、会社の事業内容、目指している世界観」について詳しく伺う機会を頂きました。「自身の経験から貢献出来ることがある」「事業内容に共感出来る」「魅力的な役員や社員が多い」と感じたため参画する事を決意しました。入社時は財務経理のマネージャーとして、マザーズ上場、ベンチャー投資、金融機関対応、証券会社や監査法人対応等を経験しました。マネジメント経験は初めてであり、加えて、リクルートの企業文化と異なる点からも、当初マネジメントには苦労しました。
LITALICOでは、ビジネスと障害福祉が両立出来る事を学びました。障害をお持ちの方のためにサービスを提供し、報酬を得て、ビジネスとして成り立つ領域があることを初めて知りました。更に、その領域でIPOまで出来る規模になるということを知らなかったので、その点でも新たな学びがありました。そして、障害は特別なものではなく、人の考え方や捉え方によって変わると理解出来たことも、私にとって特別な経験になりました。
そういった環境にいる中で、現場の社員や障害をお持ちの方に貢献出来る事はないかと考え、主体的に障害を持った方に向けたプログラムを開発し、全国で講義を10回以上開催しました。障害をお持ちの方を飽きさせず、興味をもってもらうように講義を進める事は、いままで様々な場所で研修や講義を行った中でも、最も難易度が高いと感じました。そして、自身の部署にも障害をお持ちの方を採用する等、障害に対して、自身がどのように向き合い、貢献することができるのか考え、最も行動した時期でした。
その後、LITALICOのIPOが決定し、次は自身がCFOとして会社の成長に貢献したいという気持ちが強くなっていきました。そのような時に共通の知人がいる株式会社フォーデジットと出会いました。その当時、事業領域はWEBデザインのみならずテクノロジー分野にも進出されており、またその時の課題は私が貢献出来る領域であり、そしてなによりも、共同代表の二人の人間性に魅力を感じたので、参画することを決意しました。
4.事業会社の役員期
4.1 株式会社フォーデジット
フォーデジットでは、CFOとして企業価値向上に向けた業務、管理部門全般のマネジメント、M&Aの検討、金融機関対応、証券会社や監査法人対応等を経験しました。特に前任者の対応で色々と大変な事がありましたので、その対応や社内外のコミュニケーションにも時間を取られましたが、そういった経験も貴重なので良かったと考えています。
IPOを目指す会社であるため、全体を俯瞰した上で、経営管理体制の再構築から対応をはじめました。どの会社でも発生する話ですが、バックオフィス業務のブラックボックス化があったので、見える化を行う必要がありました。月次決算が一定の精度になることにより、予算実績差異分析とその後のアクションも適時にできるようになりました。
その際、大事なことは事業部責任者とのコミュニケーションです。一般的に、管理部門と事業部門はうまくいかない事が多いのですが、事業部門と管理部門はお互いを尊重して仕事をする必要があると考えています。私は、事業に興味を持つこと、その事業と事業部の方の為に貢献するといった意識と行動が、事業部の方と関係性を構築する上で必要だと考えています。フォーデジットの事業部のメンバーは良い人材が多く、コミュニケーションは円滑に進める事が出来ました。
会社の雰囲気やスピード感はとても好きでしたし、居心地も良かったです。しかし、その時の会社の状況等を鑑みた際、IPOに対する考え方で二人の共同代表と乖離が出てきており、共通の友人である社外役員とも会話をした上で、私は会社を離れる事を決意しました。後日、知人が新規事業で困っていたので、UI/UXの領域で実績のあるフォーデジットを紹介したところ、普段あまり褒めない友人から大変感謝されたことから、顧客からの評価が高いことを改めて認識出来ました。
4.2 株式会社アンビスホールディングス
アンビスホールディングスとの出会いは偶然でした。会社からスカウトメールが来て「話だけでも聞きに来ませんか」との連絡を頂いたのですが、その当時業務が立て込んでいたので当初は伺う事が出来ませんでした。その後、改めて連絡が来たので、HPやインターネット上の記事等を確認し、経営者と事業領域に興味を持ったので、話だけでも聞きに行くことを決意しました。その初対面で、医師である社長と看護師である取締役とお会いし、色々と話を伺うにつれて、「経営陣も魅力的であり、事業内容も社会的意義が高く、自身の経験から貢献出来る事がある」と感じました。
当初CFOとして加入し、証券会社対応、監査法人対応、東証対応等、過去積み上げてきた経験と同様の業務を担当していましたが、最終的には事業の取締役を経験する機会を得られました。事業の取締役ですので、現場での問題が発生する都度現場に行き、色々と対応しました。その際、現場の方から「来てもらって本当に助かりました。」と感謝されることがあり、その都度、心からやりがいを感じました。現場の大変さと、本社にいる人間が現場社員をサポートする事により現場社員がどれだけ安心出来るかについて、改めて学ばせて頂きました。
属する市場も成長しており、その中で業績も好調であり、他社との差別化も出来ていたため、無事ジャスダックに上場することが出来ました。取締役としてとても多くの事を学ばせて頂きました。その中で、業務や会社のステージに一区切りがついたこと、自身のCFO経験や事業の取締役としての経験から他社をサポートしていきたい等の理由から、退任することを決意しました。
現在、世の中はコロナの影響もあり、色々と大変な事も多いです。そのような中でも、一歩踏み出してみないと分からない事、見えない世界があります。色々な出会いや経験を積むことにより、一人でも多くの方の役に立ちたいと考えています。
記事を読んで下さっている皆様も、他社に関わる際は「その事業や世界観に共感出来るか」「経営陣やキーパーソンに魅力を感じるか」「自身が組織に貢献出来るか」等の自身の軸を持って検討されると良いのではないかと考えています。
今回の記事を一つの事例として参考にして頂ければ幸いです。
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