コロナ禍の影響で収入が激減した多くの中小企業や個人事業主が、月末の家賃の支払いに頭を抱えている。政府は追加経済対策で1カ月あたり最大50万円(補助率2/3)の家賃補助を行う給付金制度を設ける予定だが、税金においてはすでに、家賃を減額した場合でも消費税率を弾力的に取り扱うことが決まっている。
政府は新型コロナウィルスの第2次補正予算の追加経済対策を5月27日に閣議決定する予定だが、その中にコロナ禍の影響で大幅な売上減少に見舞われた事業者に対し、家賃補助を行う「特別家賃支援給付金」制度を盛り込んだ。
6月を目途に家賃補助の給付金スタート
「特別家賃支援給付金」制度は、
・中堅中小企業・・・・資本金10億円未満、従業員2000人以下の法人
・個人事業主・・・・・主に開業届を提出している個人事業主
・フリーランス・・・・活動の実態が証明できる者(開業届は不要)
を対象に、最長6ヵ月間、毎月最大50万円の家賃補助を行うもの。
給付金は、6月分から半年間の家賃が対象となる予定で、中堅中小企業については月額50万円、個人事業主・フリーランスは月額25万円を上限に家賃の3分の2が補助される。
<中堅中小企業>
50万円/月×6カ月=300万円 ※対象家賃の合計が450万円以上の場合
<個人事業主・フリーランス>
25万円/月×6カ月=150万円 ※対象家賃の合計が225万円以上の場合
家賃の消費税の軽減措置
政府の緊急事態宣言から発令されてから、家賃問題は中堅中小企業、個人事業主、フリーランスにとっては死活問題になっている。政府はスピード最優先で最大限の支援を実現すべきだが、一方で、税金においては家賃を減額した場合の消費税処理において弾力的に取り扱うことを国税庁が明らかにした。それは、「経過措置」の考え方で、消費税率が8%になるか、それとも10%になるかの大きな問題だ。
昨年10月1日から消費税率は原則10%になっているが、テナントへの賃貸(資産の貸付け)については、消費税率等の経過措置(旧税率8%)が設けられている。2019年3月31日までに事務所などの不動産の賃貸契約を結んでいて、「一定の要件に該当するとき」は、2019年10月1日以降であっても家賃の税率は8%のままになるというもの。
この「一定の要件に該当するとき」は、とても重要な部分で、賃貸借契約において「対価の額が定められている」ことが条件。つまり賃貸借契約において家賃の額(対価の額)を定めていない場合は、経過措置の対象外なのだ。
ただ、経過措置には限りがあり、8%が適用されるのは「当初の賃貸借契約に基づく貸付け」の期間だけ。自動継続条項による期間が2019年10月1日以降に始まったら、その時点から10%になる。たとえば、「当初の賃貸借契約」の期間が2018年11月1日から2020年10月30日までだった場合、この2年間は「貸付けに関する経過措置」に該当するので、全期間8%のままだが、2020年11月1日以降は「当初の賃貸借契約」の期間ではないので10%になる。