コロナ禍の影響なら「正当な理由に基づくもの」で8%

一方で、契約期間中であっても、家賃の値上げや値下げなどで契約を変更してしまうと、そこから新たな賃貸契約がはじまるため消費税率は10%になる。ただ、対価の変更が「正当な理由に基づくもの」である場合には、その対価の変更につき改正法附則第5条第4項ただし書『対価の変更があった場合の経過措置の不適用』を適用しないものとして取り扱われることになっている。つまり、「正当な理由に基づくもの」であれば、8%の経過措置が継続されるわけだ。

そこで今回、政府の要請もありコロナ禍の影響で困窮しているテナントに対して賃料を値下げしたら、この「やむを得ない理由」と判断してほしいという要望が不動産賃貸業者から上がっていた。

国税庁では、こうした要望に対して、賃借人の支援のために賃料を減額することが明らかな場合は、「正当な理由に基づくもの」として取り扱ってよいとし、引き続き、 資産の貸付けに係る消費税率等の経過措置が適用されことを明らかにしたのだ。

「正当な理由に基づくもの」の判断材料として、賃料の減額に係る変更契約書や覚書等において、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けたとする賃借人の支援のために賃料を減額する旨を明らかにしておくことが必要だ。

また、不動産以外の資産、たとえば事務機器等の貸付けについて、 新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために賃料を一定の期間減額する場合も、同様に取り扱ってよいとしている。

このほか、政府の要請が行われる前に、賃貸業者が、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために賃料を一定の期間減額した場合も、同様に取り扱って差し支えないとしている。

東京商工リサーチが4月に実施した調査によると、売上高に占める家賃の割合が2割以上と回答した中小企業は25%に及んでいる。規模の小さい個人経営の店舗ほど家賃負担が重みを増していることは想像に難くない。資金援助だけでなく税金においても、経済立て直しのため総合的な支援が急務だ。

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