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【IPO・CFOを経験した会計士が伝授する成功のポイント】CFOの採用で注意する5つのポイント

先日、「いろいろな状況が重なって困っている」という会社の社長に頼まれて、監査役を引き受けることになりました。課題を抱える企業に参画することは大変ですが、やりがいも大きいものです。今回の記事では、CFOの採用で注意するべき5つのポイントについて、お伝えしたいと思います。

まずは、組織や関わる専門家等をイメージして頂くために、俯瞰図を作成しました。ぜひ、自社の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。

1. スキルや職歴ではなく人間性を重視する

CFOはお金や数字を扱う重要な役割であることから、大前提として「人として信頼出来る人」であるべきです。CFOはその役割や専門性から、情報を操作して不正や自身に有利な状況を作ることもできてしまいます。信頼出来る人材でなければ、CFOを採用することが会社にとってマイナスになることもあるのです。

私が過去に関与した会社で、CFOが不正をしていた会社がありました。詳細は控えますが、不正で会社に与えた金額的損害はもちろん、その金額以上に社員に対する悪影響が大きかったことが印象に残っています。

そして、不正のみならず、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントを行っていた事例もありました。最終的には不正が発覚したため退任されましたが、残された従業員が受けたダメージは甚大でした。そして、CEOや他の役員は任命責任を追及され、従業員から大きく信頼を失ってしまいました。

極端な事例ではありますが、実話です。CFOの採用には、その人間性に十分に注意する必要があります。

2. 自社のニーズに合わせた採用を心がける

前回の記事(上場準備会社が知っておいて欲しい近年の状況3つのこと)でも述べましたが、CFOには大きく区分すると「金融機関出身のCFO」「監査法人出身のCFO」の二つがあります。前者の強みは資金調達やIR、後者の強みは管理部門構築や監査法人対応。自社のニーズがどこにあるのかを把握して、そのニーズに合ったCFOを採用する必要があります。管理部門構築や監査法人対応に強いCFOが必要なのにもかかわらず、その領域に強くないCFOは当然ミスマッチとなります。状況によっては、CFOの短期辞任も考えられます。会社のニーズとそのニーズに応えられる能力を持ったCFOを見極めた上で採用することが重要です。

また、ベンチャーにありがちな話ですが、「有名大学出身で、有名企業の勤務経験もあり、MBAを取得しているから優秀なはず。即採用だ!」といったブランド思考も気をつけるべきです。当然、優秀な方も多いと思いますが、ブランド的には申し分無かったとしても、実務が出来るかはまた別の話だからです。

3.市場価値に従った報酬を提示する

CFOはその役割の重要性から一般的に報酬が高額ですが、CEOよりも低く設定されることの方が多いようです。上場準備会社においては、CEOも報酬額を抑えているケースもあるため、結果としてそこまで高額にはなりません。私の友人の話やヘッドハンターからの情報を総合すると「800~1,200万円+ストックオプション」といった条件が多いのではないかと思います。

ここで、気をつけたいのが、他の役員や職員との報酬の差をどのように考えるか、万が一報酬金額が判明してしまった場合どのように説明するか、という点です。当然、報酬はその方の経験や会社としての必要性、そして、その方の市場価値で決定します。しかし、役員や社員の中には、市場価値がわからず、単純に自身の報酬と比較して不満を持つケースも少なくありません。報酬は「会社から見た自身に対する評価」とも考えられるので、他の役員や職員と大きく金額が異なったとしても、優秀かつ人格的にも優れているCFOには市場価格に見合った報酬を提示する必要があります。

4. 他の役員との関係性に注意する

経営はチームですので、CEOや他の役員との関係性に注意する必要があります。役員によっては、自身よりも高い報酬やポジションで入ってくる方に対して、面白く思わず、良くない行動を起こしてしまう方がいます。

このようなケースは、例えば、社長のお気に入りで実力に見合わないにもかかわらず役員になられている方や、本来であれば役員になれない方が特殊な事情で役員に就任している場合に発生することがあります。CFOと他の役員との関係性を鑑みて、チームとして機能するのか、CFOと比較した際、他の役員は役員としての資格があるのかについて、慎重に検討する必要があります。

私がCFOとして参画を決めた際は、CEOを含めた取締役全員と面談し「この方達と一緒に働きたい」「自身の経験から貢献できる」「自身も仕事を通じて成長できる」と考えられたことが決め手でした。給与やポジションも大事ですが、仕事は自身の時間の大部分を使います。「誰と仕事をするのか」に比重を置く場合は、特に役員との関係性が重要です。

5. 配下となる社員との関係性に注意する

CFOを採用する場合、管理部門を統括するケースが多いため、その際、配下メンバーとの関係性にも注意しておくと良いでしょう。

例えば、経理財務部門に中途で入社して数年経過し、経理処理や支払処理といった日常業務は対応出来るが、監査法人対応や本決算対応が出来ていない方がいらっしゃるような企業も少なくないと思います。その方の上長としてCFOが入る場合、その方にとって自身の昇進が見えなくなってしまい、結果としてモチベーションが下がってしまうことも考えられます。また、CFOとその方の相性が良くない場合やCFOがマネジメントに慣れていない場合、もしその方が退職してしまったら日常業務も回りません。

私自身もCFOとして参画した際は、配下メンバーとの関係性も重要視しました。共に働く仲間なので、その方に対する理解を深めようとする努力は、これからその方の上長となるにあたり必要だと思います。入社前に配下メンバーを誘って食事に行き、会社への思い、既存役員との関係、前任者との関係、その方の将来の事等、色々と会話することで、その方のみならず、社員から見た会社の状況が分かり、大変参考になりました。

一般職員の方が会社の実態を正確に把握しているのはよくあること。役員や管理職だけに気を取られず、様々なポジションの方と関係性を構築することは重要だと認識しておきましょう。

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著者: 三橋秀一

CFOサポート株式会社 代表取締役/中央大学商学部客員講師

監査法人トーマツ出身の公認会計士。リクルート等を経て、(株)LITALICOでマザーズ上場、(株)アンビスホールディングスでジャスダック上場を経験。「自身の経験から複数の企業や個人に貢献したい」という思いから、2020年1月にCFOサポート(株)を設立。中小企業やIPOを目指す企業への業務支援、CFOや財務経理でキャリアを構築する個人への支援を行っている。また中央大学商学部客員講師も努め、毎年150名超の大学生に会計士の魅力や就職に役立つ情報を伝えている。
■CFOサポート株式会社
https://cfosupport.net/

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