第18回は、最近相談を受けることの多い、IPOを目指す会社の管理部門強化における注意点を解説。IPOを目指し管理部門を強化する際、社長に気をつけて頂きたい3つのポイントをお伝えします。
IPOを目指し、監査法人や証券会社とコンタクトを取った際には、まずはじめに、「管理部門はどのような状況でしょうか?」と問われ、会社の管理部門の状態を確認されます。管理部門は、監査法人や証券会社のカウンターパートとなる部署として重要な役割を担っており、適切に機能していなければ、IPOは進められません。
社長や社長の周囲の方に管理部門に詳しい方がいれば良いですが、多くの会社はそういった方がいない状況でIPOを目指されます。
今回は、IPOを目指し管理部門を強化する際、社長に気をつけて頂きたい3点を紹介します。
1.管理部門を統括する人材(以降、CFO人材)の経験や成果を徹底的に確認する
管理部門を強化する際、CFO人材の採用が最も重要になるでしょう。
一般的には、知人や人材紹介会社を通じて採用することになります。人材紹介会社からは、外資系コンサルティング会社、外資系金融機関、監査法人出身等、華々しい学歴やキャリアを持っている方を紹介してもらえます。ここで注意しなければならないのが、学歴やキャリアは参考情報に留め、その方が持っている経験や成果をしっかりと確認しておくことです。
私が関与した数社で目の当たりにした実例として、「外資系金融機関出身だから、もしくは、監査法人出身者だから管理部門を統括出来るだろう」と考えて管理部門の統括に配属したケースを紹介します。このケースでは、配属された方は業務の概要や言葉は知っていましたが、実務については全く無知でした。そのため、配下メンバーをマネジメント出来ず、さらには社外の専門家からも全く評価されることもなかったため、交代を要求されてしまったのです。
このようなミスマッチを防ぐためには、CFO人材の経験やその方が過去に出された成果を詳細に確認した上で、期待する成果を出して頂くことが重要です。また、過去に成果を出したからといって、今回も結果が出せるという訳ではありません。今回も成果を出せると言える根拠とその再現性について、自身で確認するのは当然のこと、本人にも確認する必要があります。
加えて、監査法人や証券会社に相談すると、プロ目線での助言を頂けるので良い方を採用出来る可能性が上がります。是非とも相談しましょう。