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飲食店の成長を加速するために知っておきたい財務のオキテ ~融資の基本知識【資金使途】~

飲食店にとって金融機関から融資を受けることは資金調達の王道です。そこで、今回から「融資の基本知識」について紹介します。初回は、資金使途について説明します。

融資は資金使途によって分類される~設備資金or運転資金!?~

埼玉県の住宅街で焼肉店を1店舗経営しているdさんは、金融機関の担当者に融資の相談をすると、「今回の融資の使途は設備資金ですか?運転資金ですか?」と言われましたが、その意味が分からず困っていました。

融資を申し込むにあたって、金融機関から必ず「資金使途」を質問されます。資金使途とは金融機関から融資を受ける資金の使いみちという意味で、融資を受ける場合には資金の使いみちを明らかにする必要があります。資金使途は設備資金と運転資金の2つに分かれます。

設備資金はその名前の通り、資金使途は設備購入および設備関連費用に限定されており、融資を申し込むにあたっては、必ずその設備の見積書等、関連書類の提出が求められます。そして融資実行後は、設備資金支払先への直接振り込みや、金融機関の担当者が融資によって購入した設備を実地確認に来ることもあります。また、融資実行後に提出する試算表や決算書類では該当設備が資産計上されているか等も厳しくチェックされます。

それに比べ運転資金は、仕入決済、給料、諸経費支払等、営業を円滑に回すための資金であり、何に使うか、証拠書類の提出は求められません。

資金ニーズに応じて適切な融資を選ぼう

その後dさんは、飲食店専門の税理士に相談し、設備資金で融資を受けられる際には、設備資金で融資を受けたほうが、返済年数を長くしやすく、融資額を大きくしやすい旨を教えてもらいました。資金使途の種類ごとの強みと弱みを把握することで、自身に合う融資の申し込み方が分かるようになりました。

設備資金と運転資金では返済期間が異なり、運転資金の返済期間は原則7年以内(実質5年以内)と短く、設備資金は原則15年以内(実質10年以内)と長いので、月々の返済額が軽くなります。設備資金の返済期間は設備の法定耐用年数を考慮した返済年数となるためです。例えば500万の融資を受けたとして、返済年数が5年の場合は毎月の返済金額83,000円であるのに対し、10年の場合では毎月の返済額は41,000円となり、同じ金額を借りたとしても毎月の返済金額が2倍となってしまいます。これは毎月の資金繰りで考えた場合、2倍の金額を借りたのと同じ効果があります。

また、設備資金と運転資金では融資可能額についての考え方も異なります。金融機関が運転資金の融資をする場合は、食材仕入、人件費の支払など使途に応じて必要金額を見積もり、融資可能額を算定していますが、一般的に月商の1ヶ月分や固定費の3ヶ月分が上限になることが多いです。これに対し、設備資金の融資をする場合は、融資の対象となる設備の購入金額を融資可能額として算定しています。購入する設備の金額が大きい場合には、設備資金で申し込んだ方が多くの金額を調達できることになります。

加えて、飲食店の場合には、現金商売であることから現金売上により先に入金が発生し、後から仕入などの経費を掛払いすることが多く、運転資金の必要性が乏しいという理由で運転資金による融資が断れるケースもよくあります。

できるだけお金を手元に残す財務戦略の観点からは、設備資金で融資を受けられる場合には設備資金により返済年数をできるだけ長くして融資を受けることをお勧めします。運転資金は設備資金で申し込めない場合に使ったほうがよいでしょう。

<設備資金と運転資金の例>

飲食店の財務戦略の基本は資金使途に合う融資の選びから!自社の状況に合わせて適切な融資商品を選ぶことが大切です。

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著者: 水野剛志

Credo税理士法人代表/税理士・経営コンサルタント

富山県出身で醤油屋の次男として誕生。慶應義塾大学商学部卒業後、税理士法人山田&パートナーズ、アビームコンサルティング(株)、OAG税理士法人/㈱OAGコンサルティングを経てCredo税理士法人/Credoコンサルティング事務所を設立。飲食店を専門に開業支援や多店舗展開支援を年間50件以上実施するなど、財務戦略に基づいた飲食店の繁盛店の仕組みづくりに強みを持つ。
■Credo税理士法人
http://credo-tax.com

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