飲食店にとって金融機関から融資を受けることは資金調達の王道です。そこで、「融資の基本知識」について紹介します。今回は、代表者保証について説明します。
融資にとって代表者保証は必須!?
都内で焼肉店を1店舗経営しているfさんは自身が高齢になってきており、一緒にお店を運営している右腕のAさんに会社を譲って引退したいと考えています。ただ、お店を改装したときに金融機関から融資を受けた借入金について経営者であるfさん個人が連帯保証人になっており、会社を譲り代表者をAさんへ変更する際にはAさんが代わりに連帯保証人になってほしいと金融機関から言われ、悩んでいます。
会社が金融機関から融資を受ける場合には、ほとんどの場合で経営者が連帯保証人になること(代表者保証)を求められます。その理由として多くの中小企業の場合、財務基盤・経営基盤の脆弱性があるため、金融機関はその高くはない信用を経営者などの個人保証で補完しようとするためです。金融機関は経営者を連帯保証人にすることによって、会社の資金繰りが厳しくなった場合に、経営者個人に資産があれば、万が一の場合にそこから回収することができます。また、経営者が「自分の資産は豊富だし、会社はどうなっても構わない」と考え、会社の資産を経営者個人の資産へと移すというモラルハザードを防ぐこともできます。金融機関側にとって経営者が連帯保証人になることは融資をする上で非常に重要になるのです。
しかしながら、経営者側にとっては、会社が事業に失敗したときには、会社が倒産すると同時に、代表者も保証債務の履行を求められるため、結果として財産をすべて失うことになるという厳しい制度になっていますので、代表者はその事実を理解して会社を経営していく必要があります。