新米経理必見!3分でわかる業務手順 第18回「キャッシュフロー計算書」
キャッシュフロー計算書は会社の資金の流れを示す、とても重要な会計書類の1つです。会社が継続して成長するには、キャッシュ残高の把握、キャッシュの動きを分析することが必須です。今記事ではキャッシュフロー計算書について紹介していきます。

キャッシュフロー計算書とは
キャッシュフロー計算書とは、企業会計において報告する財務諸表の1つで、会計期間における資金の増減を営業活動、投資活動、財務活動に分けて表示するものです。
キャッシュフロー計算書は、C/FやC/Sと略されることがあります。また、貸借対照表、損益計算書と合わせて財務3表と呼ぶこともあります。
キャッシュフロー計算書の歴史は浅く、上場企業などの財務諸表として開示が義務付けられたのは2000年3月期からです。背景としては、利益が出ているのに、資金が底をつき倒産してしまう「黒字倒産」の事例が見られ、資金の動きを開示する要請が出てきたことなどが挙げられます。
キャッシュフローの構成
キャッシュフロー計算書は、先述のとおり、会計期間における資金の増減を3つの区分に分けて計算したものです。では、3つの区分をそれぞれ見ていきましょう。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フロー(以下、営業キャッシュフロー)は、会社の本業でどれだけキャッシュを稼いだかを示します。会社が存続するためには本業でキャッシュを稼ぐことが大前提のため、営業キャッシュフローは当然プラスである必要があります。
営業キャッシュフローを集計、表示する方法は、直接法と間接法の2通りが認められています。それぞれ見ていきましょう。
・直接法
直接法は、主たる営業取引の区分ごとに表示する方法です。主たる営業取引の区分には、営業収入による資金の流入、仕入による資金流出等があります。
営業取引ごとに集計を行っていることから、営業活動の実態を理解しやすい一方で、取引区分の集計に手数がかかることから、実務上はほとんど用いられていません。
・間接法
間接法は、利益とキャッシュフローにずれがある項目を調整して表示する方法です。
利益からスタートし、各種調整項目を加減算していることから、会計に精通していない方からすると、営業活動の実態が把握しづらいでしょう。一方で、損益計算書と貸借対照表とプラスアルファのデータがあれば作成が可能なことから、実務上は間接法を用いるのが一般的です。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー(以下、投資キャッシュフロー)は、固定資産や有価証券等の取得、売却に伴う資金の動きを示したものです。会社は、将来の企業価値増大のため、投資活動を行います。将来獲得するキャッシュフローに対し、どれだけ投資しているかを示すため、通常マイナスの金額が算出されます。
成長期の会社、特にベンチャー企業では、投資が先行するため相対的に、投資キャッシュフローのマイナス金額は大きくなる傾向になります。一方で、成熟期の会社では、マイナス幅が小さくなります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー(以下、財務キャッシュフロー)は、借入や株式投資によって資金調達に伴う収入や、借入金返済や配当金の支払いによる支出を表示しています。
一般的に、成長期の会社では投資が先行するため、投資キャッシュフローはマイナス、それを補うために資金調達活動を行うため、財務キャッシュフローはプラスになることが多いです。他方、成熟期の会社では、安定収益をあげることでキャッシュ残高に余裕ができ、借入金返済や、株主に配当還元するため、財務キャッシュフローはマイナスになる傾向にあります。