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バックオフィス複業マンの経理実務コラム 第6回「交際費と会議費」

会社が、得意先、仕入先をはじめステークホルダーに対して、接待、贈答等を行う行為のために支出する費用を交際費等と言います。さて、会計処理上、交際費と会議費という似た勘定科目が存在し、区別が難しいこともあるでしょう。今記事では、交際費と会議費のちがいを紹介していきます。
※交際費を接待交際費という勘定科目で代替している会社がありますが、同義です

明確に交際費、会議費と区分けされる取引

取引形態によって、明確に勘定科目が割り当てられる取引があります。

これらの取引は金額の大きさを問わず、勘定科目を割り当てましょう。一方、飲食に伴う接待の場合、金額により、会計処理が変わってきます(5,000円基準)。下項で詳しく見ていきましょう。

5,000円基準とは

得意先等との飲食代のうち、1人あたり5,000円を超えるものは交際費、5,000円以下であれば会議費で会計処理でき、通称5,000円基準と呼びます。例えば、2名の出席で、合計9,000円の接待であれば、1名あたりの金額が4,500円で、5,000円以下のため、会議費で会計処理できます。なお、上記会議費で会計処理を行うために以下の要件が満たされた書類(具体的にはレシートや領収書)保管が求められています。

  • イ 飲食等の年月日
  • ロ 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
  • ハ 飲食等に参加した者の数
  • ニ その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地(店舗がない等の理由で名称又は所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の名称、住所等)
  • ホ その他参考となるべき事項

金額基準と合わせてしっかり当該書類も保管するようにしましょう。特にロの参加者の氏名は、レシートに記載がありませんので、経費申請者に記載を促すなど、情報を集める働きかけが必要でしょう。

5,000円基準で勘定科目を分ける理由

さて、5,000円基準で、なぜ交際費と会議費に勘定科目を分けるのでしょうか。それは税務上の取り扱いで、原則、交際費は一部金額が損金とならないからです。損金とは「会計上の費用」の税務版の位置付けで、損金にならない経費分、税金支払が増えてしまいます。一方、会議費で計上された経費は当該税務上の取り扱いに該当しません。よって、会議費の要件を満たす限り、会議費の勘定科目で会計処理したほうが、税金メリットがあります。

交際費の損金参入額

税務上の取り扱いで、原則、交際費は一部金額が損金とならないことを紹介しました。損金に算入できる金額を下記表にまとめます。

ここで注目したいのは、損金に算入できる金額を計算するにおいて、資本金が1億円以下の会社は2通りの方法を選択適用できる点です。例えば、飲食に関する交際費が年間2,000万の場合、上記表①の方法で計算すると、損金に算入できる金額が1,000万になり、②で定める800万を上回ります。よって①を選択適用したほうが、税制メリットを受けられることになります。日々の会計処理の中で、交際費の補助科目を飲食代とその他に分けて、会計処理しておくと、決算や税務判断を行う際に効率的でしょう。

5,000円基準や800万円基準は税込金額?税抜金額?

交際費と会議費の区分で用いた5,000円や、交際費の損金算入できる金額で用いた800万円という金額は、税込金額なのか、税抜金額なのか、気になるところですよね。結論から言いますと、会計処理で、消費税を税込処理している会社は、上記金額は税込金額、税抜処理している会社は、税抜金額で判断されます。つまり、消費税を税抜処理している会社では、1人あたり、5,500円(税込)の飲食交際費は、税抜5,000円ですので、会議費処理が可能ということですね。

※消費税10%で計算しています

中小企業は無理に5,000円基準を用いて会議費に計上しなくても良い?

資本金1億円以下の会社は、損金に算入できる金額が選択適用できると先述しました。

ここで注目したいのは、損金に算入できる金額が最低でも800万保証されている点です(選択適用で②を採用した際)。中小企業で年間800万円も交際費を使用する会社は少ないのではないでしょうか。月額にして70万弱です。そのため、5,000円以下の飲食代も、交際費に含めて計上しても、差し支えないでしょう。会議費に計上するためには、要件確認等、手間がかかるため、一律交際費で計上するのも一つ手でしょう。

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著者: 篠原泰之

バックオフィス複業マン

1990年生まれ。東京都出身。スタートアップで経営管理業務に従事する傍ら、管理部門構築支援や事業計画策定、執筆活動など、財務経理を軸に幅広く活動している。日商簿記1級保有。

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