非営利法人の会計と制度その1として、①非営利法人の分野全体における監査の種類・法定監査の法人数・監査報酬(年間)平均額、②最近の制度改正と今後の動向、③法人類型別の会計基準の特徴と改正の動向について解説しました。そしてその2として、①学校法人の制度改正と今後の動向、②学校法人の会計をお伝えしました。前回は、その3として、①公益法人の制度をお伝えしましたので、今回は②公益法人の会計を少し詳しくご説明します。

1. 公益法人会計の特徴について

公益法人会計における財務報告の枠組みは公益法人会計基準です。また、公益法人の財務書類の体系は、法人類型ごとに次の通りとなります。

 

<公益社団・財団法人の場合>

  • ・貸借対照表及びその内訳表
  • ・正味財産増減計算書及びその内訳表
  • ・キャッシュフロー計算書(大規模法人以外は作成を省略することができます)
  • ・附属明細書
  • ・財産目録
  • ・収支予算書

 

<一般社団・財団法人の場合>(※)

  • ・貸借対照表
  • ・正味財産増減計算書
  • ・附属明細書

(※)公益目的支出計画実施中の法人(移行法人)は、通常は内訳表も作成します。なお、移行法人以外の法人は企業会計を採用する場合もあります。

 

そして、公益法人会計基準では、①貸借対照表の固定資産を「基本財産」、「特定資産」及び「その他固定資産」に区分すること、②貸借対照表の純資産を「正味財産」といい、正味財産を「指定正味財産」及び「一般正味財産」に区分すること、③正味財産増減計算書を「一般正味財産増減の部」と「指定正味財産増減の部」に区分することに特徴があります。なお、基金制度を採用している場合には、貸借対照表の正味財産を「基金」、「指定正味財産」及び「一般正味財産」に区分し、さらに正味財産増減計算書の増減の部も同様に区分します。

また、公益法人会計基準では、固定資産の減損について、企業会計とは異なる規定が設けられている点も特徴的です。