―海外展開というのも将来的には考えているのですか?

そうですね。ただ海外展開をする場合にはローカライズを考えなくてはいけないという大きな課題があります。各国によって法律が違って、もちろん税法も社会保険の制度自体も違いますよね。海外の大きなサービスがまだ日本に入ってこないのは、そういうところがあるのかなと思ったりもしています。我々としては東南アジアなどで、最初は自動化ツールではなく、海外に進出する日本企業の支援ツールを展開していけるかなと思っています。現時点では着手できていませんが、将来的にはありえることだと思っています。

―クラウド化と人材の活用という点ではどのようにお考えですか?

我々のサービスでは、会社設立登記や税務署の届出をオンラインで自動化しているので、ともすれば税理士や司法書士の業務を一部奪っているという面もあります。しかし、結局のところ、会社設立の業務をGozalでやるとなっても全部を自動化しているわけでなくて、一部で専門家の知見を取り入れていて、自動の中に人力を入れているというのが現状です。

具体的に言うと、将来のEXITをどうしたいのかとか、直近で資金調達の予定があるのかとか、そういったところによって定款のデザインが変わってくるので、そこの部分は専門家に実際に見てもらい、アドバイスをもらってカスタマイズしましょうというプロセスを途中に設けています。そのような形で、商標であれば区分をどうするかとか、特許だったら明細書の請求項をどうやって書くかとか、そういう部分は人工知能より人力の方が効率がいいなと思っているので、しばらくは入れ替わらないのではないかなと思っています。

我々のサービスとしては、自動化できる部分と、人がやった方がいい部分というのをしっかり区切るというのが最初のステップだと思っています。自動化できるところは専門家のノウハウを取り入れて、できるだけ実務ベースでつくってシステムにしっかりと落とし込んでいき、自動化できない部分は、専門家とクラウド上で効率的にコミュニケーションがとれるような仕組みを作りこんでいる状況です。自動化できるところは自動化して、人がやるべきところは人がやって、というところをしっかり住み分けてつくるという立ち位置に立っています。税理士や弁護士の方々の仕事を奪っているのではないというのは強調したいですね。

私自身もともと会計事務所にもいたので、どれだけ専門家の人が遅くまで仕事をしているのか存じ上げています。彼らがどうして遅くまでやっているかというと、ルーティンワークの部分を結構やらされていることが多いんです。今は専門家の方々が無理をしてこの業界が回っているという状況なので、そこの無理している部分、ルーティンワークの部分を切り取って効率化することによって、より付加価値の高い仕事に集中していくというポジションをGozalとして目指しています。

知財という点で言うと、周りを見ていると最近ようやくスタートアップでも特許の出願をする企業が増えてきたなと感じています。彼らは、大企業のように特許のポートフォリオを固めて、他社からの侵入を権利で防ぐというのとは違い、技術的なエビデンスを特許を取得することで示したり、プレスリリースで特許取得を公表して資金調達に繋げたりする意味合いで出願することが多いんです。実際に、特許取得のプレスリリースを出すだけで、「資金調達のニーズないですか」と出資会社やベンチャーキャピタルなどからアプローチが来たりするので、そういう使い方が広がっているのかなと思います。上場企業でも「特許をとりました」という情報を公開をするだけで、株価が10%上がったというデータもあるそうです。

ただそこの課題としては、スタートアップのビジネスモデルを理解できる弁理士さんが多くはないことですね。単価が小さいので弁理士の方もやりづらいというのはあると思うんですが、例えば株式とかストックオプションで報酬を受け取ったり、顧問弁理士として機能するなどいろいろと工夫は必要ですが、そうした新しい動きがあってもいいと思っています。より多くの人材がスタートアップに流れて、魅力的なサービス、世界で戦っていけるような戦略が、もっと流通していくと面白いかなと思ったりします。

あと弁理士さんの起業家も周りで増えているので、それも面白いなと思っています。知財分野に限らず、一般的なサービスで起業する弁理士も増えています。そういう方は知財でガチガチに組んでいるのでそういう意味で言うと強いスタートアップだなと思います。

―現状の御社の課題も含めて、広く展望を教えてください。

今の一番の課題は、スピードだと思っています。エンジニアが足りていません。
我々は、中小企業が必要な1個1個の手続きについて、まずは100種類を自動化したいと思って順次やっていますが、それを作りこむためには専門家のノウハウと、エンジニアがそれを理解して機能として落とし込むという2つが必要になります。専門家は、社内に会計士、税理士、司法書士、行政書士の資格をもった役員もおりますし、研究開発のパートナーとして弁護士、弁理士、社労士がいるので、チームとしてリソースは足りているんですが、それを落とし込むエンジニアの方は足りていません。そこの技術者の数を増やしたいなという思いは圧倒的にあります。それが1つ目の課題です。

2つ目の課題は、このサービスをつくるにあたって、政府機関とのコミュニケーションが非常に重要になっている点です。例えば、厚生労働省や特許庁、法務省などは、オンライン上で出願や登記申請できるAPIを解放しているんですが、それを使っていいですよという許諾を受けるためには、セキュリティ要件が結構高いんです。現在はそことのコミュニケーションをしっかりとって、「こういう風にやるので許諾をください」といったようなやり取りをしている段階です。そこは粘り強くやるしかないので、そこも課題と言えば課題ですね。きちんとやっていかないといけないところかなと思っています。

今は「中小企業のバックオフィスの悩みをゼロにしたい」というのが究極の目標であって、それを邪魔するような課題を1個1個取り払っているような状況です。具体的には、会社設立の手続きをオンライン上で自動化できるような機能を既にリリースしていて、その後の税務署の届け出、社会保険の届け出というのもオンラインでできるようになりました。まだ創業後の給与計算、給与計算からはじかれる所得税、雇用保険料、そういったものの納税等の手続きは紙でやられていたりしますし、いつ何をしたらいいかわからないという課題をお持ちの企業様も多いので、そうした1個1個の問題を潰して、本当にバックオフィスの悩みがゼロになる世界をつくっていきたいというのが展望というか我々の夢ですね。

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