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消費税の軽減税率 水道水は「水」であるが水でない!?

お店で販売している水は軽減税率の対象で8%だけど、水道水は10%・・・。「え~、嘘でしょ、信じられない」との声も聞こえてくるが、コレ本当の話。国税庁は4月11日、消費税率10%に伴い導入する軽減税率制度についてQ&Aをまとめたが、その中には、どうも納得できない取り扱いも見受けられる。

消費税率10%に伴い導入される軽減税率制度だが、法律では対象品目が「酒類」と「外食」を除いた飲食料品のほか、定期購読契約した週2回以上発行される新聞となっている。

疑問になるのが、「飲食」の考え方と「外食」との線引きだ。
国税庁でも、それを察して4月11日、軽減税率に関するQ&Aを公表した。
それによると、「飲食料品」の定義として、食品表示法に規定するすべての「飲食物」としており、人の飲用または食用に供されるものを指すとしている。食品表示法まで勉強しないといけないわけで、軽減税率を深く考えると、かなり取り扱いが大変なことが分かる。

外食の考え方については「いすやテーブルなど飲食の設備がある場所でのサービスの提供」、「客が指定した場所での飲食サービスの提供」と定義し、飲食料品と区別するとしている。

「氷」も保冷用と食用に分かれる

軽減税率の対象か否かで、まず疑問に思ったのが、「水」だ。
Q&Aでは、ミネラルウォーターなどの飲料水は、「食品」に該当し、その販売は軽減税率8%の対象としているが、水道水は、風呂や洗濯といった飲食用以外の生活用水としても供給されるので、軽減税率の対象にはしないとしている。ただし、“東京水”のように、水道水をペットボトルに入れて販売する場合は軽減税率の対象になるとしている。

なんか、納得するようなしないような扱いだ。家の飲み水は、浄水器を入れているので、その分ぐらいは軽減税率の対象にして欲しいとの声も聞こえてくる。「カートリッジ代だけでも馬鹿にならない」とういう主婦も少なくないだろう。個人的には、軽減税率導入で、サーバー販売する飲料水が再び注目されると思っている。

「氷」については、保冷用に使う氷は軽減税率の対象外。コンビニなどで販売する食用、飲用のものは軽減税率の対象になる。

庭で果物栽培 その苗木は・・・

「趣味は園芸」という人も増えているが、果物の苗木や種子については、軽減税率の対象にはならないとしている。「食べものを育てているのになぜ」と思うが、栽培用の植物や種子は、食品ではないからとの理由だ。とはいうものの、「おやつや製菓の材料用など、人の飲食又は飲用に供されるものとして販売されるかぼちゃの種などは『食品』に該当し、その販売は軽減税率の適用対象になる」としている。
微妙な考え方だが、販売者が「コレ食用ですから」と定義付けしてしまえば、軽減税率の適用対象となると考えられる。

ノンアルコールビールは軽減税率OK

そもそも、お酒は軽減税率の対象から外れているが、ノンアルコールビールやノンアルコールカクテルは、軽減税率の対象になるのか。お酒かどうかの判断は、ネーミングではなく、酒税法に規定する「酒類」で判断するので、アルコール度数1%未満かどうかが線引きになる。そうなると、「ノンアル・・・」をうたっているのは1%以下になるため、軽減税率の対象になると予想される。

ファーストフードでセットメニュー

マクドナルド、ロッテリア、ファーストキッチン、ケンタッキーなどのファーストフード店。牛丼なども入ってくるが、どれも、そこで飲食、持ち帰りも可能だ。Q&Aでは、商品を購入して、そのまま店内で食べた場合は「外食」となり、持ち帰る場合は「外食」にあたらず、8%の軽減税率を適用するとしている。
ピザの宅配や出前については、宅配も出前も「飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供」に当たらないため外食とはならず、軽減税率の適用としている。

ところで、ショッピングセンターなどにあるフードコートで食事をした場合は、外食になるが、フードコートにあるファーストフードで商品を購入、レジで「持ち帰り」と言ったものの、気が変わってフードコートでそのまま食べて帰った場合、軽減税率の対象になるとしている。国税当局では、外食の判断基準について、「販売時点」の対応を基本に考えており、お客の購入後の行動把握まで求めていない。この当たり、フードコートでの“気が変わり族”が全国に出没するのも時間の問題だ。

コンビニなどのイートイン

コンビニやパン屋でのイートインサービスについては、「持ち帰りが可能な状態で販売される」と判断し、その場で食べた場合は飲食料品の購入として8%の軽減税率が適用される。
しかし、イートインでも、購入した食品がトレイに載せられて座席に運ばれたり、返却が必要な食器に盛られて提供されると、「その場での飲食を前提に提供される」場合になり、外食と判断される。この当たり、対象になりそうなお店では、軽減税率を見据えたサービス展開が予想される。

このほか、定期購読契約する新聞については、週2回以上発行されるものが軽減税率の対象としており、スポーツ紙や専門紙も含まれるとしている。
一方で、新聞という名称であっても電子版の新聞は、なぜか軽減税率の規定に該当しないとの判断で、軽減税率の対象にならない。
(詳しくは、https://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/02.htm

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/
■KaikeiZine
https://kaikeizine.jp/

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