士業のクラウドソーシング「Gozal」を展開する株式会社BEC(東京都新宿区)高谷元悠社長に、サービスの魅力とクラウドソーシングのメリット、士業の働き方について迫った。
―「Gozal」というサービスについて教えてください。
法務や税務、特許取得や商標登録など、中小企業が抱えるバックオフィスの悩みをオンライン上で専門家に相談・依頼できる、日本最大級の士業のクラウドソーシングサービスです。現在、北海道から沖縄まで約250の事務所様に登録いただいています。登録できる士業としては、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士の7種の士業の方の登録が可能になっています。チャット感覚で専門家と直接やりとりできるのが特徴です。
我々がやっているサービスでは、中小企業様が、WEB上に自分たちの法務、労務、知財といった専門分野に関する課題を投稿できるような仕組みがあり、日々企業様が自社の課題を投稿しています。それを、登録いただいている弁護士や会計士、税理士といった専門家に「こんな課題を持っている企業さんがいますよ」という通知をGozal上で届けます。それに対して士業の方は、時間が空いていたり、この案件をやりたいなというときは、「こんな金額でこんなことができますよ」という提案ができるようになっています。もしその提案が採択されれば、依頼者とその専門家の2者しか見られないページを作成して、WEB上でやりとりをしていただきます。契約書のチェックなどであれば、チェックをしてwordで納品したりと、WEB上で専門家のサービスが受取れて、代金の受け払いもできるような、そんなシステムを運営させていただいています。
現在当社は3期目に入ったところです。Gozalのサービスで使える機能を増やし、いろいろなものが提供できる形にようやくなりつつあるかなという状態です。
―登録している事務所は都内が多いのでしょうか?
そうですね、5割くらいが都内の事務所様です。残りは、大阪、名古屋がちょっと多くて、四国、九州、北海道、沖縄も何事務所かあるという状況。一応全国にあるんですが、都内が圧倒的に多いですね。士業の割合は均等で、7種の士業様がバランスよくご登録いただいています。利用している方は、若い方が圧倒的に多いです。30代~40代の弁護士、税理士の方が圧倒的に多くて、個人で事業をやっている方だけでなく、100人規模の大きい事務所でご利用いただいているケースもあります。平均だと5人~10人くらいの規模のところが多いですね。
集客に関しては、基本的にSEOで獲得できており、月間で20~30事務所ずつご登録いただいています。登録は無料なので、まずは登録してさわって頂く、よければしっかり使って頂く、そんな形になっています。まだ新しい仕組みなのでまずは遊んでもらうという感じですね。
―特に依頼が多い専門家というのはあるのでしょうか。
特に依頼が多いのは法務、知財ですね。我々のサービスを使っていただいているユーザーの方が、IT系のベンチャーやアプリ・WEBサービスを開発されている若い経営者の会社が多いんです。彼らは法務や知財に不安を感じています。例えばサービスの利用規約を作って欲しい、チェックして欲しいという依頼はよくありますね。
あとは、商標出願の要望も多いです。一番多いのは会社設立の案件で、設立をGozalで行って頂いてから、その他のバックオフィス業務もGozalで管理していただくような使われ方が多いです。
―課題を持つ企業と士業の事務所をマッチングし、契約が成り立った時に御社に料金が入るシステムですか?
実はGozalでは、仲介料を一切いただいていません。料金はそのまま直通で専門家と受け渡ししてもらうような形にしています。我々のマネタイズとしては、士業の方から月額の料金をいただくプランを用意しているのでそこからいただくというモデルと、現在非公開で、一部の中小企業様のみに給与計算ツールや会計ソフトツールを提供しておりまして、その月額料金をいただくという2つのマネタイズで進めています。
―企業と士業が直接やりとりできるプラットフォームを提供されていますが、仕事を進めていく中で事務所と企業が直接顧問契約を結ぶということはあるのでしょうか。
まさにそうなって欲しいと思っています。現在クラウドソーシング機能をメインに展開してはいますが、最終的には顧問契約を結び、相性が合う事務所に継続的にバックオフィス機能をサポートしてもらう方がその企業のためになると思っているので、積極的に促したいと思っています。
Gozalのサービス内で、クライアントと顧問士業のコミュニケーションツールを今後提供していく予定になっています。顧問契約を結んだ後の日々のやり取り、例えば資料依頼や顧問料の回収を、自動化できるような仕組みを開発してします。近々リリース予定です。
まずは単発で業務を依頼して、内容に満足いただけるようであれば顧問に移行する。そしてその後もGozalを使ってコミュニケーションをとってもらうような、中小企業様を長く支援できるプラットフォームになりたいなという思いがあります。