国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

会計人ニュース

注目キーワード

高橋ジョージ・三船美佳 離婚財産分与の落としどころ

ロックミュージシャン高橋ジョージ氏とタレントの三船美佳さんの離婚がさきごろ、急転直下成立した。離婚のきっかけは、高橋氏のモラルハラスメントとのことだが、すでに別居状態が続いていたらしい。今後、東京都世田谷区成城の自宅の財産分与で、ひともめありそうだが、日本も最近では3組に1組が離婚しているとのデータもあり、他人事でもない問題になっている。

高橋ジョージ氏と三船美佳さんの離婚成立で新たに浮上してきたのが、東京都世田谷区成城の自宅兼音楽スタジオなどの財産分与問題だ。離婚成立から2年以内がその除斥(消滅時効と違い停止・中断不可)期間であるため、離婚バトルはまた再燃するのではないかと見られている。

一方、子どもの養育費については、今のところ何も出ていないが、成人するまでは夫にいつでも請求可能。また未請求分についても合意があれば時効は5年間となっており、調停裁判であれば時効は10年であることからも、この件に関しては、美佳さんも急がないものと思われる。

さて、離婚問題は有名人だけの専売特許ではない。厚生労働省調べ「人口動態総覧の年次推移」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei15/dl/2015toukeihyou.pdf)では、2015年の婚姻件数63万5千件に対して、離婚件数は22万5千件と3組に1組が離婚している計算。人口1千人対する離婚率は1.80%だ。
この統計からも、いまや離婚は、他人事ではない時代になっている。年齢を重ねても、「熟年離婚」という言葉が流行っているが、老後の離婚も少なくない。

さて、離婚ともなれば、一般家庭でも財産分与問題が浮上してくる。
財産分与とは、結婚生活の中で夫婦協力して築き上げた「預貯金」「不動産」「車」「保険」「株式」「債券などの有価証券」「退職金」「年金」「リゾートクラブの会員権」「ゴルフクラブの会員権」などの各種資産から、住宅ローン等夫婦の共同生活上生じた債務を控除した、純共有財産を離婚の際に貢献度に応じて分配することである。

高橋ジョージ氏の財産分与を考える

まず、高橋ジョージ氏と三船美佳さんの財産分与について考えてみると、 財産分与の中心は、清算的財産分与で 夫婦の財産を離婚原因にかかわらず分配するものであるため、有責配偶者からの請求でも認められることになる。

結婚前、THE虎舞竜のボーカルとして稼いだ16億円ともいわれる「ロード」の印税を2年で使い果たしたと公言しているため、カラオケの印税が年間1200万円としても、不動産など財産の大部分は二人で稼いだものになると考えられる。

扶養的財産分与は、配偶者の一方が生活に困窮してしまうといった状況の場合、その生活を助けるためといった扶養的な目的によって財産分与が認められるものだが、今回は関係ないだろう。

最後に慰謝料としての財産分与が考えられる。離婚自体により精神的苦痛を被った相手方配偶者への賠償だ。裁判の結果、美佳さんは慰謝料を放棄したと言うが、当初離婚理由としていたモラルハラスメントによる慰謝料分(時効は離婚後3年)なのか、或いは慰謝料としての財産分与なのか判断が難しい。

一般的な財産分与の場合はどうなのか

次に、一般納税者の財産分与について考えてみたい。
注意すべきは、夫婦の協力によるものであれば、名義の如何を問わず1/2づつ分配するのが一般的であること。さらに合意内容は文書化、できれば公正証書作成と離婚時までのきちんとした財産分与が重要だ。専業主婦だからと言って分与割合を引き下げる必要はなく、役割分担しつつ、財産形成したとの認識をすれば良い。

年金分割(合意分割=請求期限離婚後2年以内)については、平成19年4月1日より、制度開始前の期間含む婚姻期間中双方の標準報酬額の1/2を限度として分割可能(他に3号分割あり)となった。

財産分与から外れるが、民事執行法では養育費が遅延した場合、将来分を含めた差し押さえが可能となっている。なお、協議離婚であっても合意の内容を公正証書にしておけば、裁判所を通じ支払いを給料などから控除できる強制執行が可能だ。

財産分与における税金

ところで、財産分与の場合、本来夫婦それぞれが持つべき財産の清算及び離婚後の生活保障的要素が強いため、贈与税は非課税だが分与割合が極端に多い場合の例外がある。

また、不動産などの分与時に譲渡(財産分与請求権解消のため)所得が認定される場合がある。
贈与税については、分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多すぎる場合は多すぎる部分に課税される。さらに、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は、離婚によってもらった財産全てに贈与税がかかる。

不動産などについては財産分与時の時価評価額から取得原価を差し引いたものがプラスの場合、財産分与した方に譲渡所得税がかかる。個人の場合は居住用不動産でも建物部分について減価償却後の価額が取得原価となるため予想以上譲渡所得税が膨らむ可能性があるので注意が必要である。

もし婚姻期間が20年以上の夫婦ならば、居住用資産贈与時配偶者控除2千万円、及び離婚後に残りの持分を財産分与すれば所有期間に関係無く最高3千万円の控除特例が使えると思われるので、税理士に相談の上活用されたい。

著者: 松本大路

税金ジャーナリスト/元税務調査官

税務調査官として約13年、都内の税務署などで法人税調査などを行う。その後、外資系生命保険会社の営業職員として約10年間、資産家及び法人、会計事務所向けに、役員退職プランや決算対策などをサポート。現在はフリーの税金ジャーナリストとして活動する。

ページ先頭へ