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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:令和2年度税制改正② 国外居住親族に係る扶養控除等の見直し

「国外居住親族」を扶養控除等の対象とする場合の要件については、平成27年度改正において「親族関係書類」や「送金関係書類」の提出を求めるなど要件が厳格化されました。令和2年度改正においては、国外居住親族の年齢要件が見直されました。日本で働く外国人労働者が増加の一途をたどる中、外国人労働者を雇用する企業は要件の確認が必須です。

増加する外国人労働者

厚生労働省によると、令和元年10月末時点の外国人労働者数は165万人で、前年同期比で13%増加し、平成19年に外国人雇用状況の届出が義務化されて以降、過去最高を更新しました。

国別の労働者の状況は以下の通りです。

 

【労働者数が多い上位3か国】

・中国 418,327 人 (全体の 25.2%)

・ベトナム 401,326 人 (同 24.2%)

・フィリピン 179,685 人 (同 10.8%)

【増加率が高い上位3か国】

・ベトナム 401,326 人 [前年同期比 26.7%増]

・インドネシア 51,337 人 [前年同期比 23.4%増]

・ネパール 91,770 人 [前年同期比 12.5%増]

 

外国人労働者を雇用する事業所数は242,608か所、前年同期比12%の増加でこちらも過去最高を記録しました。

外国人労働者の大半は出稼ぎであるため、日本で稼いだ給料のほとんどを母国に送金しています。母国にいる家族は、当該外国人労働者の「国外居住親族」に当たるため、扶養控除等の適用対象となります。

近年の税制改正によって、この「国外居住親族」を控除対象とする際の要件が厳しくなっていることから、外国人労働者を多く雇用する企業にとっては要件の確認が不可欠となります。

平成27年度改正

平成27年度の税制改正により、年末調整において国外居住親族を扶養控除等の対象にする場合には、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」(これらの書類が外国語で作成されている場合には、翻訳文を含む)を会社に提出又は提示しなければならないこととされました。

同様に、確定申告において国外居住親族について扶養控除等の適用を受ける場合にも、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告書に添付するか、又は確定申告書の提出の際に提示しなければならないとされました。

「親族関係書類」とは、「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」であることを証明するための書類で、戸籍謄本その他これに類する書類、出生証明書、婚姻証明書などが該当します。

「送金関係書類」とは、金融機関が行う為替取引により居住者が国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類をいいます。また、クレジットカード発行会社の書類で、国外居住親族がそのクレジットカードを提示して商品等を購入したことにより、その商品等の購入代金をその居住者から受領したことを明らかにする書類も含まれます。

令和2年度改正

所得税の扶養控除については、16歳以上の生計を一にする親族等で給与収入103万円以下(合計所得金額38万円以下)の者を有する場合、1人につき38万円を所得控除することができます。

国外居住親族の場合、所得要件の判定においては、国内源泉所得を用いられていることから、国外で多額の所得を稼得している親族でも控除の対象とされているとの問題点が指摘されていました。

そこで、令和2年度の税制改正において、国外居住親族に係る扶養控除の適用要件について、以下の通り見直しが行われました。

この改正は、令和5年分以後の所得税に適用されます。

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著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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