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税理士法人Brothership代表 松原潤の経営コラム 「新型コロナウィルスがもたらした効用」

新型コロナウィルスは収まる気配を見せず、全国に緊急事態宣言が拡大された。先が見えない不安により思考はネガティブになりがちだが、マイナスな考え方からは何も生まれない。できるだけポジティブに捉え、自分がコントロール可能なことにフォーカスすることが大切である。
そこで現状をポジティブに捉えて、コロナがもたらした効用について、私たちの会計事務所で起こった事実を交えながらお伝えしたい。コロナによって改めて認識できたことが3つある。

1つ目は、一緒に働くメンバーたちの偉大さである。3月のある日、体調不良で休んでいた私たちの事務所のスタッフがコロナ感染の疑いがあるとの一報が入った。緊張が走る。もしかして自分も感染しているかもしれない、スタッフ全員が隔離される可能性がある、事務所が継続できないかもしれない。一瞬にして様々なことが頭を駆け巡る。そんな中スタッフは、誰も取り乱すことなく落ち着いて、何をすべきかをフルスピードで洗い出し、役割を自発的に引き受けていった。死の可能性があるコロナウィルスに自分も感染しているかもしれない状況の中で、冷静に判断し、事務所のために、お客様のために、全員が動く。私は心が震えた。なんて素晴らしい人たちと仕事をしているのだろう。感謝しかない。リーダーシップはトップだけのものではない。緊急時だからこそ、メンバーの本当の強さが見えた。なお、感染の疑いがあったスタッフは、コロナとは別のウィルス性肺炎だったことが分かり、コロナのおかげで早期発見出来て一週間で復帰できるという奇跡まで起こった。

2つ目は、会計人としての職業的使命感である。政府による外出自粛や休業要請があり、経済活動が著しく縮小している。こんな時、経営者が一番頼りにする存在は顧問税理士である。私たちの事務所でも、資金調達や補助金助成金の相談が絶えない。確かにコロナ感染による直接的な被害も恐ろしいが、経営者にとって資金ショートによる倒産はそれを上回るくらい恐ろしいことである。今私たち会計事務所が支援の手を緩めることはできない。こんな時こそ経営者に安心を届ける必要がある。プロフェッショナルとして、今が真価本領を発揮する時である。そんなプライドを再確認することができた。会計事務所業界は恵まれたポジショニングにある。特定業界の影響を受けづらく不況にも強い。安定したインフラになっている。だからこそ今、私たちは利他の心を持ち、最大限、公のために尽くす必要がある。

3つ目は、事前対応の大切さである。私たちの事務所では、緊急事態宣言が出されるずっと前から、リモートワークの準備を進めていた。まずは数名がリモートワークを実施し、その体験から気づいたことをフィードバックしてもらった。早めにポケットwi-fiを借りる、クラウドに移行できていなかった資料をアップする、紙で印刷するかわりに3画面対応にするなど。そのおかげで、緊急事態宣言が出された段階で100%全員がリモートワークに移行できた。緊急性は高くないが重要性が高いもの、いわゆる第二象限が何かを認識し、優先的に時間を割くこと。それが最もコストが抑えられ、有効であると身に染みて感じることができた。

以上がコロナによって改めて認識できたことである。これに加えて、コロナによって価値観が劇的に変化したこと(パラダイムシフト)があった。それは、会計事務所はリモートワークが出来るということである。恥ずかしながら、リモートワークはIT業界だからできるものだ、お客様に直接会いに行くことに価値が在る、全員が同じ場所に集まらなければ仕事のクオリティは高まらない、主婦のパートさんたちは旦那さんの反対があるからリモートワークは絶対に無理だ、と思っていた。果たして今どうか。全員がリモートワークをしている。全員がzoomで常時接続されている。トップが監視するためにそうしているのではなく、メンバーから一体感を感じるために常時接続したいとの意見があったからだ。パートさん全員がリモートワークをしたいと申し出てくれた。彼女たちは私たちの宝である。お客様へのサポートも、電話、チャット、web会議システムでも満足度を高められている。移動時間がなくなり、かえって生産性が上がった。緊急事態だからこそ、理念やミッションに基づいて、建設的な意見が出る。リモートワークができないなんて自分の思い込みであった。可能性を狭めているのは、いつも自分自身の思い込みなのである。コロナ終息後もリモートワークをオプションとして持ち続けられることの効果は大きい。こんな時だからこそ、生産性を劇的に改善してみせる。(リモートワークは税理士法40条3項に規定があるが、日本税理士会連合会で認める見解が出ている)

明けない夜はない。今だから出来ることがある。コロナ終息後の私たちは今より格段に良くなっている。会計事務所業界が今真価本領を発揮する時である。

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著者: 松原潤

税理士法人ブラザシップ 東京オフィス/代表社員 公認会計士・税理士

大手監査法人勤務後、トヨタ系ハンズオン型ベンチャーキャピタルで、様々なベンチャー企業の修羅場を経営者と乗り越える。現在は経営支援型会計事務所の代表を務める。
コアスキルは、財務、コーチング、戦略的思考、心理学。経営者のポテンシャルを120%引き出して理念ビジョンを叶える仕事と、ベンチャー支援がライフワーク。

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