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その手があったか 酒井威津善の【儲けのヒント】〜第4回 マネタイズ①〜

コロナ禍の影響の中、BCP(事業継続計画)を前提に、飲食店、小売業をはじめ多くの業界にて、従来のビジネスモデルを大きく変換せざるを得ない状態が起きています。
そうした中、新しい事業を考える(もしくは既存事業を見直す)上で、ポイントとなるのが「これまでにない切り口」をどうやって見つけるか、です。第4回は「マネタイズ」についてお伝えします。

昨年、「サブスクリプション」が様々な分野で広がりました。中でもトヨタのKINTO(https://kinto-jp.com/)の登場は衝撃的でした。多くの耐久消費財の中で、その価格帯の印象からどちらかといえば土地や不動産など「資本的要素」が強かった車が、このサービスの登場によって一気に「スマートフォン」的な性質を担い、消費者との距離感を縮めたのです。

いわずもがな、サブスクリプションの最大の特徴は「定額制」です。トヨタ「KINTO」の場合、一般的に一括(下取りなど)かローンによる販売である車の支払いを月々3〜4万円程度の「定額」にしたもの。つまり、車という商品はそのままに、課金方法だけをアレンジし、新たなビジネスモデルとして成功を収めています。

 

課金体系を変える。一見すると、ただ収益モデルが変わるだけのようにも思えますが、その実「ビジネスの印象」そのものを変えてしまう力すらあります。

もちろん、印象だけではなく、新しい市場の形成や競合他社との差別化の可能性をも併呑しています。こうした点で、トヨタの事例はまさに、と言えるケースでしょう。

マネタイズのアレンジにはまだまだ切り口があります。ここからは続けて発想の起点となる「マネタイズの種類」と、それにまつわる事例をご紹介しましょう。

 

マネタイズの種類

マネタイズには以下のような19種類があります。

「レベニュー・シェア」は、システム開発など業務委託契約などで用いられる方法の一つです。部分的に無償で開発を行う代わりに、完了後、対象のビジネス運用から得られる収益の分配を受け取る成功報酬型の課金方法です。

 

「ギフティング」は、SHOWROOMや17Liveなどのライブ配信サービスで脚光を浴びた方式です。予め決まった参加費などが発生しない代わりに、ファン化した視聴者が自身の応援する出演者にお金を贈る(投げ銭)方法です。

 

残りの方法については、説明不要だと思いますので割愛しますが、ポイントはそれぞれの内容ではなく、「現行のモデルから別の課金体系に変える」こと。続けて、この点を活かした事例を3つご紹介しましょう。

マネタイズを変えた3つの事例

一例目は、スープストックトーキョーを手掛ける株式会社スマイルズが展開する「文喫」(http://bunkitsu.jp/)。なんと、利用するのに入場料がかかる書店です。

もちろん、一般的な書店はそのようなものは発生しません。無料で入ることができ、迷惑にならない程度に立ち読みも可能です。

一方、この文喫では利用料として1,500円発生しますが、一日中滞在して本を読むことができるほか、本をじっくりと読むための「閲覧室」や「研究室」、珈琲と煎茶がおかわり自由の「喫茶店」が併設。誰にも邪魔されず、一日中、本を読むことに没頭できる場所になっているのです(購入や取り寄せ、取り置きといった一般の書店と同様のことも可能です)。その独特のモデルでメディアに幾度も取り上げられ、大変な活況ぶり。無料→有料(利用料)を新たな課金体系として加えた、まさに「その手があったか」そのものの事例です。

 

二例目は「じぶんdeエステ」(https://jibunde-esute.com)。

エステといえば、本来1回2万円とかの世界です。お店によってはもっと高額かもしれません。この「じぶんdeエステ」は、なんと月額5,980円で通い放題。大手サロンが利用する業務用マシンを、セルフつまり自分で使ってケアするサービス。施術にかかる「技術料」を「サブスクリプション」に置き換えた事例です。

 

三例目は、あべのハルカス美術館(https://www.aham.jp/)。日本一の高さを誇るあべのハルカスの16階にある美術館です。この美術館の入退場管理として運用されているシステムの導入に当たって、「レベニュー・シェア」が用いられています。

開発導入したパナソニックインフォメーションシステムズとの間で、美術館のチケット販売枚数を基準にした「収益分配」モデルです。これによって、美術館側は、イニシャルコストを押さえられ、開発ベンダーは通常の収益モデル(一括回収)から入場料をベースにした課金モデルを持つことを実現しています。

 

現在、世界的なコロナ禍によって、飲食店、小売業をはじめとして様々な業界がただならぬ影響を受け、これまでのビジネスモデルを見直す必要に迫られています。足元の対策ももちろんですが、収束後、いわゆる「ポスト・コロナ」に向けた新たな視点も必要です。発想の切り口の1つとして、「マネタイズ」を変えることができないか、ぜひ、試してみてください。


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著者: 酒井威津善

フィナンシャル・ノート代表

東洋情報システム(現TIS株式会社)にて10年間に渡り、法人向けシステムの企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12年間CFO(財務責任者)を歴任。2016年独立。新しいビジネスモデルの創出支援、設計及びサポートなどを行なう。著書に「儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50」「儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート」(自由国民社)、「起業のための儲けの教科書」(ソシム)がある。

■新しいビジネスモデルの発見とヒント
http://financial-note.com/ 
■シェアーズカフェ・オンライン
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