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その手があったか 酒井威津善の【儲けのヒント】〜第6回 価値観①〜

コロナ禍の影響の中、飲食店、小売業をはじめ多くの業界にて、従来のビジネスモデルを大きく変換せざるを得ない状態が起きています。
そうした中、新しい事業を考える(もしくは既存事業を見直す)上で、ポイントとなるのが「これまでにない切り口」をどうやって見つけるか、です。
第6回目は、「価値観」です。

価値観とは

価値観とは、「何を好ましいと考えるか」「何が良いと考えるか」といった、ものの見方のことです。ビジネスに置き換えれば、何かを利用したり、購入したりするときに、選ぶ基準となるもののこと。当然、主観的なものですので、A=Bといった定式のようなものは存在しません。例えば、1つ100円のトマトが売っていたとき、ある人は「高い」と感じ、ある人は「安い」と感じるでしょう。

定式がないとはいえ、人間の感情と同様、価値観は無尽蔵に存在するわけでありません。ざっと次のような23個に分類することができます。

それぞれの言葉の意味はこれまでご紹介したものと同様、不要でしょう。

最大のポイントは、ビジネスとして成立しているものは、必ずいずれかの価値観を満たしているという点です。

わかりやすい例をいくつか挙げてみましょう。

例えば、

・チャンス・機会増大=宝くじ、懸賞、転職、etc

・先端技術=AI、IoT、ロボット(RPA)、5G、etc

・利便性=タクシー、スマホ、地図アプリ、etc

といった具合です。

 

ここでお気づきの方もたくさんいらっしゃると思います。

ある商品やサービスが、特定の価値観を満たすことで、そのビジネスが成立しているのならば、その価値観を別の価値観に変えてしまえば新たなビジネスが生まれるのでは?と。

 

はい、そのとおりです。

価値観をアレンジする

新たなビジネスの切り口を見つけ出すその方法は、これまでと同様、マネタイズのように、「総当たり」で当てはめてみる。一見遠回りですが、これが確実です。

 

例として、「ホテル」で見てみましょう。

図表の中、「リラックス・癒やし」「利便性」「コスパ」といったものが該当しそうです。

事実、それぞれ、

「リラックス・癒やし」=一流ホテル・旅館

「利便性」=ビジネスホテル

「コスパ」=カプセルホテル、サウナ

といった具合に、価値観を基準にしてカテゴリーが分かれています。

 

では、こうした「ホテル」の価値観を変えるとどうなるでしょうか?

すでに別の価値観で成立している4例ご紹介しましょう。

 

1つめは、価値観を「楽しさ」に置き換えたもの。

Book&Bed(https://bookandbedtokyo.com/)です。

本に囲まれて過ごす。本好きにはたまらない空間です。

このホテルを選ぶ利用者は、「利便性」や「コスパ」ではなく、「本に囲まれる楽しさ」「リラックス・癒やし」を基準に選んでいるわけです。

 

2例目は、価値観を「自然思考」にした宿泊施設。

3年ほど前から脚光を浴びているグランピングです。
例えば、星野リゾートが提供するグランピングリゾート(https://www.hoshinoresorts.com/sp/glamping/)。

これまでの宿泊施設にはなかった「新しさ」という価値観も同時に満たしています。

 

3例目は、「先端技術」。

利用された方もいるかもしれません。「無人ホテル」です。

AI、ロボット、IoTといった先端技術を用いた省力化ホテルです。

2例目と同様、「新しさ」や、省力化によって「コスパ」という価値観も満たしています。

 

最後の価値観は、「健康的」。

ホテルは本来、「寝るところ」「休むところ」です。費用も気になるが、1日中忙しかった今日は、ぐっすり眠って、英気を養いたい。そうした価値観を満たしたのが、睡眠の質にこだわったホテル、レム(https://www.hankyu-hotel.com/hotel/remm/hibiya)です。

新しい価値観=差別化

ホテルにまつわる一般的な3例、ご紹介した4例を改めて見てみるとよくわかるとおり、満たしている価値観は、そのままそのビジネスの特徴となり、他社との差別化になります。

とはいえ、ご紹介した事例を見ると、主な価値観はすべて満たされているようにも見え、次の一手をどう考えればいいのか悩ましくもあります。

そこで、特徴を消さずに新たな切り口を見つけ出す方法としておすすめしたいのが、事例のようにシンプルに別の価値観への置き換えとは別に、「2つの価値観」を満たす方法です。

 

例えば、「一流」✕「シンプル」、「健康的」✕「先端技術」(VRを使ったこれまでにないサービスが考えられそうです)、「自然思考」✕「つながり」などなど。

こうすることで、まだ先取されていない可能性が見つかるはずです。なお、利用者にその価値が伝わらなくなる恐れがあるため、3つ以上盛り込むことはおすすめしません。

 

緊急事態宣言解除とともに、少しずつ日常が戻ってきそうな雰囲気ですが、一方で、テレワークの一般化、オフィス需要の激減、地方へUターンする若者の増加傾向など、以前とは異なる様々な変化が起きています。そうした中、「ポスト・コロナ」のビジネス世界に対応する新たなビジネスの切り口の1つとして、ご紹介した「価値観」を変え、新たな付加価値が提供できないか、ぜひ、試してみてください。

 


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著者: 酒井威津善

フィナンシャル・ノート代表

東洋情報システム(現TIS株式会社)にて10年間に渡り、法人向けシステムの企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12年間CFO(財務責任者)を歴任。2016年独立。新しいビジネスモデルの創出支援、設計及びサポートなどを行なう。著書に「儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50」「儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート」(自由国民社)、「起業のための儲けの教科書」(ソシム)がある。

■新しいビジネスモデルの発見とヒント
http://financial-note.com/ 
■シェアーズカフェ・オンライン
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