経理実務の内容を具体的にご紹介しています。今回は、経理アウトソースの使い方についてご説明します。

財務経理業務をアウトソースするメリット

事業を運営していくために財務経理業務は必須ですよね。お金に関わることなので、お客様の信用問題に関わりますし、自社の経営状態を把握するためにも重要です。一方で、財務経理は、振込や経費精算など、1円単位の細かい業務が多く、経営者が本来、意思決定を遂行する時間を削って行う状態は好ましくありません。そこで登場するのが経理担当者です。専任の経理担当者がいて、日常業務を回すのが理想的です。

一方、経理担当者を1人月、雇う余裕がなかったり、はたまた急に経理担当者が退職することもありますよね。業務過多のため、現社員だけで、日常業務を回せない時もあるかと思います。そこで、財務経理をアウトソースする選択肢が現れます。財務経理のアウトソース(外注)、あまり聞き慣れないワードかもしれませんが、近年では導入する企業が増え、下記のようなメリットがあります。

1、専門性の高い人材確保

2、生産性の高い業務への集中

3、コストダウン

4、スポット利用が可能

5、引継ぎコスト

それぞれメリットを見ていきましょう。

1、専門性の高い人材確保

アウトソースをすると、財務経理の専門性を持った人材集団による高品質なサービスを提供してもらえます。アウトソース会社によりますが、会計士さんや税理士さんがチームに入っていることもあります。

2、生産性の高い業務への集中

先述のとおり、財務経理業務は、1円単位でお金を扱うため、どうしても工数がかかりやすい仕事です。また、大きく事業内容が変わらない限り、毎月経常的に業務が発生します。会社にとって従業員は、会社の成長ドライバーであり、特に正社員には、単純業務のみならず、生産性の高い仕事(コア業務)を期待したいものです。そのため、単純業務が多い財務経理業務をアウトソースするメリットがあります。

3、コストダウン

経理担当者を社員で採用すると、給与のみならず様々なコストが発生しますよね。採用費、福利厚生費、退職金、オフィス家賃などが代表的でしょうか。給与と比較すると、アウトソース先の単価が高いのは普通ですが、様々な関連コストを含めて比較すると、コストダウンになることも多いでしょう。

4、スポット利用が可能

経理担当者が急に退職して後任が見つからない場合、会社規模が急成長して従業員採用が追いついていない場合など、一定期間のみ、経理担当者が必要なタイミングがあります。そこで数ヶ月単位で、アウトソース業者と契約し、晴れて社員が入社したタイミングで契約満了する活用法が可能です。また、決算時のみなど、現社員のみでは業務を回しきれない際に、スポットで契約するのも良いでしょう。

5、退職による引継ぎコスト

自社社員や派遣の経理担当者が退職や配置転換となると、通常引継ぎコストが膨大に発生します。一方、アウトソース先は通常チームで担当しているため、退職が発生しても引継ぎコストが僅少で済みます。

財務経理業務をアウトソースするデメリット

一方、財務経理業務をアウトソースするデメリットとして、どのようなものがあるでしょうか。ここでは代表的なものを4点紹介していきます。

1、業務のマニュアル化が必要

2、管理工数が発生

3、緊急時の対応

4、ノウハウの蓄積

一つずつ見ていきましょう。

1、業務のマニュアル化が必要

社外に業務をお願いするため、業務マニュアルを作成し、共有する必要があります。お願いした仕事を期待通りに遂行してくれるかどうかは、業務マニュアルの存在が不可欠です。マニュアルが存在しない場合、アウトソース業者が契約初月に作成してくれるケースもありますが、その反面、コストは高くつくでしょう。

2、管理工数が発生

財務経理業務は納税や会計締めなど、1ヶ月の中でも、期日がある業務が複数存在します。財務経理業務をアウトソースしても、納税や会計の締めの責任を追うのはアウトソース元の社員です。よって、アウトソース先の業務を日々モニタリングし、PM的管理を行う必要があります。

3、緊急時の対応

日常業務をアウトソースしている中、急な振込対応や、振込ミスによる金融機関連携など、緊急かつ重要度の高い業務が発生することがあります。一方、アウトソース先は、時間的かつ場所的制約があるため、即時対応が難しいケースがあります。そのため、アウトソースする業務は、経常業務に留めて、SPOT業務は社員が対応する臨機応変さが求められるでしょう。

4、ノウハウの蓄積

財務経理業務は毎月発生する定型業務が多いため、月を追うごとに業務が標準化され、効率化されていくケースが多いです。アウトソースを行っている場合、当然、標準化や効率化のノウハウはアウトソース先に溜まりますので、得たノウハウはマニュアルに追記してもらうなどして、自社にも有用となるスキームを考えましょう。

ポイント〜おわりに〜

ここまで財務経理業務のアウトソースについて説明してきました。アウトソース化は一長一短あるため、社員業務とアウトソース業務の切り分け、またコスト面などを総合的に勘案して、アウトソースの可否を判断しましょう。今後人手不足の流れは加速するはずです。社員をコア業務に集中させたい時、社員が急に退職した場合など、一つの選択肢として考えてみてください。

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