新型コロナウイルス感染症の影響で、企業が支払う休業手当に対して支給される雇用調整助成金の特例措置が拡充されています。休業や事業縮小をせざるを得ない企業では、雇用調整助成金の申請を検討しているところが多くあります。しかし、申請手続きが複雑なため、労働局への相談件数に対して申請件数が伸びていないという報道もされています。この記事では、今回の特例措置において、どのように雇用調整助成金の申請を行うのか解説していきます。

雇用調整助成金の特例措置
まず、雇用調整助成金の特例措置として、どのような拡充が行われているか確認します。厚生労働省のホームページに、次のように掲載されています。
主なポイントは次の通りです。
- ・特例措置の対象期間は、4月1日から6月30日まで。
- ・対象となる事業主:新型コロナウイルス感染症の影響で、最近1か月の売上などが前年同月に比べて5%以上減少している企業。
- ・雇用保険被保険者以外も対象となる。つまり、雇用保険に加入していないパートやアルバイトなども対象。
- ・助成率:中小企業では4/5、大企業では2/3(解雇を行わなかった場合、中小企業では9/10、大企業では3/4)。ただし、助成額は1日1人あたり8,330円という上限がある。
- ・計画届の事後提出が認められる。
さらに、労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っている中小企業などに対しては、10/10(つまり全額)助成される特例が設けられることが発表されています。この場合でも、助成金の日額上限は8,330円とされています。(この上限額について政府が引き上げを検討していますが、執筆時点ではまだ決定されていません)
雇用調整助成金の支給までの流れ
(厚生労働省リーフレットより)
この中で、計画届の提出と支給申請が、雇用調整助成金の申請に関して必要な手続きとなります。今回の特例措置によって、計画届の事後提出が認められていますが、6月30日までに提出が必要です。計画届の提出と支給申請を同時に行うこともできます。
支給申請は、休業を実施した期間から2か月以内に申請する必要があります。たとえば、5月に休業を実施した場合、7月末までに申請する必要があります。
申請先は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークとなります。郵送での申請が可能です。
支給申請を提出してから、労働局において審査を行い、書類が整っている場合には、1ヶ月程度で支給決定を行うとされています。(雇用調整助成金FAQより)