小規模事業者持続化補助金は、個人事業主や創業間もない会社も活用しやすい補助金です。持続的な発展をするための設備投資や販路開拓などの取り組みに対して補助されます。新型コロナウイルス感染症の影響が長引いており、特に小規模の事業者にとっては苦しい状況に置かれています。これを受けて、小規模事業者持続化補助金の特別枠が設けられており、従来よりも補助上限額の引き上げなどの措置がなされています。この補助金の対象や申請方法などを説明します。

まず、小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)のポイントを確認します。

■補助対象者

  • ・小規模事業者
  • 小規模事業者に該当するかどうかは従業員数で決まり、商業・サービス業では5人以下、製造業では20人以下などと定められています。
  • 「サプライチェーンの毀損への対応」、「非対面型ビジネスモデルへの転換」、「テレワーク環境の整備」のいずれかに取り組む事業者

■補助金額、補助率

  • ・補助金額上限:100万円
  • ・補助率:2/3

■補助対象事業

地道な販路開拓や生産性向上のための取り組みに対して補助されます。

販路開拓や生産性向上の取り組み事例として、次のような内容が挙げられています。

  • ・新商品を陳列するための棚の購入
  • ・新たな販促用チラシの作成、送付
  • ・新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)
  • ・新たな販促品の調達、配布
  • ・ネット販売システムの構築
  • ・国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加
  • ・新商品の開発 ・新商品の開発にあたって必要な図書の購入
  • ・新たな販促用チラシのポスティング ・国内外での商品PRイベントの実施
  • ・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言
  • ・新商品開発にともなう成分分析の依頼
  • ・店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)

私の経験上になりますが、小規模事業者持続化補助金の実際の申請で多いのは、ホームページやECサイトの構築、販促用のチラシ作成・DM送付、広告(ネット広告、雑誌など)、店舗の改装、展示会への出展あたりです。

また、今回のコロナ特別対応型では、補助対象経費の1/6以上が、次のいずれかに合致する投資とする必要があります。

  • A:サプライチェーンの毀損への対応
  • 顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行う。

<例>

  • ・外部からの部品調達が困難であるため、内製化するための設備投資
  • ・製品の安定供給を継続するため、設備更新を行うための投資
  • ・コロナの影響により、増産体制を強化するための設備投資
  • ・他社が営業停止になったことに伴い、新たな製品の生産要請に応えるための投資

 

  • B:非対面型ビジネスモデルへの転換
  • 非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行う。

<例>

  • ・店舗販売をしている事業者が、新たにEC販売に取り組むための投資
  • ・店舗でサービスを提供している事業者が、新たにVR等を活用してサービスを提供
  • するための投資
  • ・有人で窓口対応している事業者が、無人で対応するための設備投資
  • ・有人でレジ対応をしている事業者が、無人で対応するための設備投資

 

  • C:テレワーク環境の整備
  • 従業員がテレワークを実践できるような環境を整備する。

<例>

  • ・WEB会議システムの導入
  • ・クラウドサービスの導入

■補助対象経費

上記の事業の実施に必要となる経費で、以下が補助対象となります。

  • ①機械装置等費:事業実施に必要な設備やソフトウェア費用。PCやタブレットなどは対象外。
  • ②広報費:パンフレット・ポスター・チラシ、ホームページ等の作成費、広報媒体を活用する費用。
  • ③展示会等出展費:展示会への出展、商談会に参加するための費用。
  • ④旅費:事業の遂行に必要な情報収集や各種調査を行うため、販路開拓(展示会会場への移動など)のための旅費。
  • ⑤開発費:新商品の試作品やパッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製
  • 造、改良、加工のための費用。
  • ⑥資料購入費:事業遂行に必要な書籍などを購入するための費用。
  • ⑦雑役務費:期間限定のアルバイトの人件費や交通費など。
  • ⑧借料:機器・設備などのリース、レンタル料。
  • ⑨専門家謝金:事業の遂行に必要な指導・助言を受けるための専門家への謝礼。
  • ⑩専門家旅費:⑨の専門家の旅費。
  • ⑪設備処分費:販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大する等の目的で、設備機器等を廃棄・処分する、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費。
  • ⑫委託費:事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費(市場調査等についてコンサルタント会社等を活用する等)
  • ⑬外注費:事業遂行に必要な業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費(店舗の改装等)

次に申請の流れや必要な書類について説明します。

■申請の流れ

補助金の申請から支給されるまでの流れは次の図のようになります。

このうち、補助金の申請は①から③までの手続きです。

日本商工会議所公式サイトより)

 

①経営計画書を作成する

自社の事業概要や補助金を申請する事業の内容を記載します。

(上記の図では「経営計画書・補助事業計画書」とされていますが、今回のコロナ特別対応型では「経営計画書」となります。)

②商工会議所もしくは商工会から支援機関確認書の交付を受ける

小規模事業者持続化補助金の申請にあたっては、地域の商工会議所もしくは商工会からの確認書を添付する必要があります。作成した経営計画書を提出して、確認書の交付を受けます。

原則として、市に事業所があれば商工会議所、町や村に事業所があれば商工会の管轄です。

③申請書類一式を補助金事務局へ郵送する

今後、オンラインでの申請が可能になる予定ですが、執筆時点では郵送での申請になります。

■申請に必要な書類

この中で、「経営計画書」が申請にあたって作成するメインの書類となります。

経営計画書には、次のような内容をまとめます

-自社の事業概要(自社の概要や市場動向、経営方針等)

-新型コロナウイルス感染症による影響(売上減少等の状況)

-今回の申請計画で取り組む内容(上記を踏まえた、販路開拓等の取組)

-新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果

-支出経費の明細

-補助対象経費の調達先

 

経営計画書は次のような様式になっています。