国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

KaikeiZine

注目キーワード

自粛してから夫がウザい…コロナ離婚したい妻が知っておくべき税金の知識

新型コロナウイルスの影響で「コロナ離婚」がホットキーワードになっています。もし本当にコロナで離婚したら妻たちの税金はどうなるのでしょうか。今回はコロナ離婚を考えている女性が知っておきたい税金についてお伝えします。

■緊急事態宣言後「コロナ離婚」がメディアで話題に

今、SNSでは「コロナ離婚」という言葉が注目を集めています。コロナ自粛で夫婦が家にこもるようになって以降、「ゴロゴロしてるくせに家事しない」「子どもの相手くらいしたら?」と妻たちが夫にイライラするようになったためです。実際、女性向け総合メディアLipPopが今月1日に公表した意識調査から、コロナ離婚を検討している女性が少なくとも3割以上いると見られます。

ただ、ほとんどの妻は「離婚したい」と言いつつなかなか一歩を踏み出せません。「離婚して女一人で教育費や生活費をまかなえるのか」という現実的な問題があるからです。ただ、見方を変えれば「離婚後のお金の不安がなくなれば妻たちは本当に離婚する」と言えます。

■コロナ離婚したい女性が押さえるべき税金3つ

お金の不安の一つが税金です。本当にコロナ離婚をしたとき、女性の税金はどうなるのでしょうか。一緒に考えてみましょう。

離婚後の税金で押さえておきたい項目は以下の3つです。

  • 1.離婚時の慰謝料・財産分与・養育費
  • 2.離婚後の所得控除
  • 3.離婚後の生活の手当

ここから、それぞれについて検討します。

■1.離婚時の慰謝料・財産分与・養育費は「原則非課税」だが…

最初に気になるのが「離婚時のお金の税金」です。具体的には慰謝料・財産分与・養育費の3つになりますが、これらはすべて原則非課税です。ただ、事情に応じて贈与税や所得税が生じます。

・慰謝料

不倫やDVを理由に支払われる慰謝料は精神的な損害賠償であるため非課税です。ただ、不相当に高額だと、慰謝料を受け取った側に贈与税がかかります。また、慰謝料を金銭ではなく現物で支払うと、払った側に譲渡所得税が発生します。特に不動産については、受け取った側が不動産取得税・登録免許税・固定資産税を納めなくてはならないので注意が必要です。

・財産分与

財産分与は婚姻中に夫婦で協力して形成した財産の清算です。そのため、半分ずつ財産を分ければ税金は生じません。ただ、分ける財産が金銭以外だったり、分け方に偏りがあったりすると所得税や贈与税がかかります。

特に自宅の財産分与には注意しましょう。夫名義で購入した自宅を、離婚後に妻が貰い受けて住むのならば、夫側に譲渡所得税、妻側に不動産取得税・登録免許税・固定資産税が生じます。ただ、夫側は、マイホームを売却したときの3000万円控除の特例で節税できます。

・養育費

別れて暮らす元夫から受け取る養育費は非課税です。しかし、養育費が子どもの学費や生活費ではなく、株やブランド品の購入に充てられると、受贈者である子どもは贈与税を納めなくてはなりません。

■2.離婚後の所得控除は「扶養控除」「寡婦控除」「医療費控除」に注目

次に気になるのが「離婚後のお金の税金」です。女性が就職して収入を得ると所得税や住民税がかかりますが、所得控除を活用すると低く抑えることができます。特に次の3つは、子どもを連れて離婚した女性ならぜひ知っておきたい所得控除です。

・扶養控除

扶養控除とは、親族を自分の収入で扶養している人が受けられる所得控除です。年末時点で扶養する子どもが16歳以上ならば扶養控除が、19歳以上23歳未満ならば特定扶養控除が受けられます。控除額はそれぞれ次のようになります。

  • ・扶養控除(年末時点で16歳以上の子どもがいる)…38万円
  • ・特定扶養控除(年末時点で19歳以上23歳未満がいる)…63万円

ただ、元夫から養育費が送られているときは注意が必要です。元夫も子を扶養しているため、扶養控除を使えるからです。そして扶養控除は元夫・元妻のどちらか一方でしか活用できません。二重控除にならないよう元夫と話し合いをしておきましょう。

また、子どもの年間合計所得が48万円を超えていると親側で扶養控除ができません。子どものバイト代も確認するようにしましょう。

・寡婦控除

寡婦控除とは離婚・死別でシングルとなった女性に適用される所得控除です。子どもを扶養している独身女性が使えます。ただ、扶養控除と同様、子どもの年間の所得合計が48万円以下でなくてはなりません。

寡婦控除は状況に応じて「一般の寡婦としての寡婦控除」「特別の寡婦としての寡婦控除」の2つに分かれます。子どものいる女性が離婚したケースで考えると、要件と控除額は次のようになります。

【一般の寡婦】

離婚して子どもを扶養している独身女性は全員、一般の寡婦に該当します。控除額は27万円です。

【特別の寡婦】

一般の寡婦の中でも次の3つの条件をすべて満たす人は特別の寡婦に該当し、控除額が27万円から35万円に上がります。

  • ・離婚後シングルであること
  • ・子どもを扶養していること
  • ・年間の合計所得金額が500万円であること

なお、この合計所得500万円を給与年収に換算すると670万円くらいです。

・医療費控除

医療費控除も子どもを持つ親として知っておきたい所得控除です。ただ、子ども分の医療費は、扶養控除と同様、元夫・元妻どちらか一方でしか控除できません。

■3.離婚後の生活の手当は非課税

離婚後、住んでいる自治体に申請をすると、次のようなシングルマザー向けの手当てや助成金、給付金が支給されます。

  • ・児童扶養手当
  • ・児童手当
  • ・ひとり親家庭医療費助成
  • ・就学援助
  • ・自立支援教育訓練給付金・高等職業訓練促進給付金

これらのお金は非課税です。ただ、医療費助成については受け取った金額を医療費控除の対象となる医療費から差し引かなくてはなりません。

この他、公営住宅や保育園・学童への優先的入居といった公的制度を活用すれば、離婚しても子育て女性の負担を軽くすることができます。

とはいえ、家賃や水道光熱費、通信費まで軽くなるわけではありません。本気で離婚を考えるなら、上記のような離婚後の税金の制度の他、かかるお金をすべてピックアップして試算してみるとよいでしょう。

離婚後の生活には、節税や節約以上に「稼ぐ力」が求められます。「クラウドソーシングやパート・バイトでまずは稼いでみる」「勉強をして資格を取る」など、今から稼ぐ力を育てましょう。離婚してもしなくても、稼ぐ力とお金の知恵は、女性の大きな味方です。

———————————————————————————————————
◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
メルマガを購読する

おすすめ記事やセミナー情報などお届けします
———————————————————————————————————

(関連記事)

【飲食店オーナー必見!是非使いたいコロナショックの支援制度3選】

【支払いを減らそう!コロナ禍に負けたくないフリーランスがやるべき猶予・減免策3つ】

著者: 鈴木まゆ子

税理士・税務ライター

中央大学法学部法律学科卒業後、ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。ZUU online、納税通信、朝日新聞『相続会議』などメディアで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著)

ページ先頭へ