前回に続いて今回も「税金のしくみ」についてお伝えします。今回は課税のあり方です。日本には50種類以上の税金があり、毎年税制改正が行われています。税の集め方には一定の原則とルールがあるのです。
■国家の基盤を作るのが税金
前回、「税金はムダなのではなく私たちの生活に使われている」とお話しました。端的に言うと「税金は日本社会の会費」です。こういった税の機能を「財源調達機能」と言いますが、他にも「所得再分配機能」「経済安定化機能」があるとされています。
- ●所得再分配機能…「高所得の人からは多く、低所得の人からは少なく」集めて徴収し、公的サービスを通じて再分配を行っていく機能
- ●経済安定化機能…好況期には多めに課税してインフレを抑制し、不況期には税収減を行って需要を刺激して経済を安定化させる機能
この3つの機能を通じ、税は安定して誰もが暮らしやすい社会を作る基盤を作っているわけです。ただし「税金」と言えば何でも課税していいわけではありません。
■税金は「財産権の侵害」だから原則とルールがある
日本は戦後、日本国憲法の公布・施行により財産権がより強力に守られるようになりました。それまでの大日本帝国憲法との違いは、次の表記から見て取れます。
収用されるときの補償が大日本帝国憲法では個別法によるのに対し、日本国憲法では憲法の中に規定されています。もっとも大きな違いは大日本帝国憲法が「天皇主権」なのに対し、日本国憲法が「国民主権」である点です。国民の権利の一つである財産権は最優先で守られるべきものであるからこそ、財産権の侵害である課税は慎重にならなくてはなりません。
さらに、課税の仕方一つで格差が生じたり、一部の層だけが得したりします。国民の権利を平等に守るには、課税の原則とルール(法)が必要なのです。現在、経済の原則と法のルールで課税は規制されています。