■徐々に理想の姿から離れてゆく税金
この2つの原則とルールは「誰もが納得して納税し、生活しやすい国」のために存在しています。しかし現在、税制はあるべき姿からどんどん離れています。特に税の三原則は、すべてをカバーするのが難しくなりました。その一例が、昨年10月に始まった消費税の複数税率です。
- ●消費税は税の三原則を守っていない
消費税が10%に引き上げられる際、「日常に欠かせないものにまで課税をすると低所得者には過度な負担となる」として、自宅で消費する飲食料品の消費税は8%に据え置かれました。消費税は10%と8%の複数税率になりましたが、「事業主に過度な事務負担を強いる」「不公平の解消になっていない」として、税理士業界から今でも強く批判されています。
この他、所得税法では今年度分から基礎控除をはじめ控除のしくみがより複雑化し、一般人にはより分かりにくいものとなっています。税金は普通の国民にとって「難しいもの」なのです。
- ●昔作ったしくみが現代の経済社会に追いつけない
なぜ、このように税制が三原則から離れてしまったのでしょうか。それは、この2つが作られた頃と現在とでは、経済社会のありようが大きく異なるからです。
税の三原則はアダム・スミスやワグナーといった学者たちの思想をベースに作られました。彼らの生きた時代は18世紀から19世紀です。市民革命や産業革命などはありましたが、国境を超えたヒト・モノ・カネの動きが今ほど頻繁ではありません。また、国境という概念を覆すデジタル経済も存在していません。提供するモノ・サービスや人々の稼ぎ方も今の方が多種多様です。つまり、税の三原則だけでは現在の複雑な経済社会での税をカバーできないのです。
シンプルにすれば課税回避が生じるおそれがあります。公平さだけを追求しようとすると制度が複雑になり機能しなくなるかもしれません。ヒト・モノ・サービスのありようが多種多様になっている現在、税制のありかたが理想通りにはいかなくなっているのです。
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