帰省で家族同士が顔を合わせると、話したくなるのが相続対策です。特に、相続対策として生前贈与が注目されています。ただ、気になるのは贈与税。生前贈与を行うかどうかを考える前に、贈与税のしくみを確認しておいたほうがよさそうです。

■民法が求める「贈与」3つの要件とは
そもそも「贈与」とはどのようなものなのでしょうか。最初に確認しましょう。
贈与は、民法が定める契約行為の一つです。贈与として成立するには、次の3つの要件が必要となります。
- ・「あげます」「もらいます」と当事者同士が合意していること(諾成契約)
- ・無償で相手にあげること(無償契約)
- ・もらう側は財産をもらうことについて義務を負わないこと(片務契約)
会計事務所に勤務する方だと、「名義預金だから相続税の対象だ」という言葉を聞いたことがあるかと思います。名義預金だと言われる原因の一つは、「もらった側が預金を贈与されたことを知らない」からです。つまり贈与が成立していません。預金は贈与したつもりの故人のものであるため、相続税の対象となります。
なお、贈与税がかかるのは民法上の贈与だけではありません。「贈与ではないが、実質的には贈与と同じ効果があるもの」も、贈与とみなされ課税の対象となります(詳細は後編にて)。