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コロナでもう無理…個人事業主が廃業するときの税務・労務の手続きを解説

新型コロナウイルスの影響を最小限に食い止めるべく、各種給付金や助成金で多くの個人事業主が糊口をしのいできました。しかし中には業績回復の目処が立たず、事業をたたまざるを得ないこともあります。今回は、個人事業主が廃業する際の手続きを税務・労務を中心にお伝えします。

■廃業の手続きの流れ

個人事業主の廃業は次の流れで行います。

  1. 営業終了日を決める
  2. 事業を廃止する
  3. 資産を売却・売掛金の回収、買掛金や借入金、未払費用の支払などを行う
  4. 廃業に関する各種届出を行う(税務・労務の他、各種許認可・届出なども含む)
  5. 確定申告を行う

事業主の業種や状況によっては前後することもあるかもしれませんが、「精算すべきものをすべて精算した上で行政手続きを行い、名実ともに廃業する」のが基本的なありかたです。

■個人事業主が廃業…どういう手続きをすべき?

廃業のときは、税務署や労働基準監督署、ハローワークなどに以下の書類を提出しなくてはなりません。特に税務署での手続きは雇用の有無に関係なく行うことになります。なお、手続の順番は「税務署→労働基準監督署または労働局→ハローワーク→年金事務所」です。この他、飲食店のように許認可や届出がないと営業ができないところは、保健所など他の行政機関で廃業の手続きをしなくてはなりません。

●税務署に各種廃業・廃止・取りやめの届出

廃業する個人事業主は以下の書類を所轄の税務署に提出します。

  • ・個人事業の開業・廃業等届出書…「廃業」に〇(マル)をつける。事業廃止日から1か月以内に提出
  • ・所得税の青色申告の取りやめ届出書…事業廃止した年の翌年3月15日までに提出
  • ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書…家族を含め従業員を雇っていた事業主向け。「廃止」に〇(マル)をつけ事業廃止日から1か月以内に提出
  • ・事業廃止届出書…消費税の課税事業者となっている個人事業主向け。事業廃止後、すみやかに提出

●労働保険・社会保険も手続きが必要

さらに、従業員を雇用していたり社会保険に加入したりしていたのであれば、次の書類を提出しなくてはなりません。

【労働保険】

  • ・確定保険料申告書(様式第6号)…所轄の労働基準監督署か労働局に提出。事業廃止・終了した日から50日以内が期限。
  • ・労働保険料還付請求書(様式第8号)…概算保険料額が確定保険料額よりも多いとき、所轄の労働基準監督署か労働局に提出。既述の確定保険料申告書と同時。
  • ・雇用保険適用事業所廃止届…所轄のハローワークに対し、事業廃止・終了した日から10日以内に提出。
  • ・雇用保険被保険者資格喪失届…所轄のハローワークに対し離職日の翌日から10日以内に提出。
  • ・雇用保険被保険者離職証明書…所轄のハローワークに対し離職日の翌日から10日以内に提出。

この5つは継続して事業を行っている多くの雇用主の廃業手続に必要な書類です。個々の工事・事業ごとに人を雇い入れたり、あるいは複数の支店・営業所での手続きを最初からまとめて行っていたりする事業主は、用意すべき書類が若干異なります。

【社会保険】

常時5人以上雇用している個人事業主は強制適用事業所に該当するため、「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」を廃業から5日以内に所轄の年金事務所に提出しなくてはなりません。ただし、これには「雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)」のコピーの添付が必要です。もしこの添付書類がなければ、税務署に提出した給与支払事務所等の廃止届のコピーなど、適用事業所でなくなったことが分かる書類で代用します。

雇用人数が5人以下だけれどもあえて社会保険に加入していた任意適用事業所については、次の書類を廃業から5日以内に所轄の年金事務所に提出します。

  • ・健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届
  • ・任意適用取消申請書
  • ・任意適用取消申請同意書

なお、被保険者の4分の3以上の署名か記名押印を同意書にもらわなくてはなりません。

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