新型コロナウイルス感染症の影響で、失業者の増加や大企業でのリストラ実施などがニュースで報じられています。雇用維持を支援するために、企業が従業員を休業させた場合などに支給される雇用調整助成金が設けられています。この雇用調整助成金について、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の縮小を余儀なくされた場合には、助成率や上限額引き上げなどの特例措置がなされています。この特例措置が延長されており、雇用調整助成金の申請方法が以前よりも簡略化されておりますので、これらの最新情報をご説明します。

■雇用調整助成金の特例のポイント

以前の記事(新型コロナ対応で拡充「雇用調整助成金」の申請方法)で、雇用調整助成金について説明しましたが、ポイントを確認しておきましょう。

雇用調整助成金は、休業手当を支払った企業を対象とした助成金であり、新型コロナウイルス感染症の影響による特例措置として、次のような内容が拡充されています。

・雇用保険被保険者以外も対象となる

いわゆるパートやアルバイトなど、雇用保険に入っていない人を休業させた場合も対象となります。なお、この場合は「緊急雇用安定助成金」という名前の助成金になります。

・解雇等を行わずに雇用を維持した中小企業は助成率が10/10となる

次の図のように、助成率は企業規模などによって変わりますが、解雇等を行わなかった中小企業の助成率は10/10となります。つまり、従業員に支払った休業手当の全額が助成されます。

ただし、助成額の上限1人1日あたり1万5千円という条件があります。

出典:厚生労働省(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

・休業に関する「計画届」の提出が不要

従来は、休業に関する計画届を提出してから、その計画にもとづいて休業を実施して休業手当を支給した後に、助成金支給の申請をするという流れになっていました。

特例が設けられた当初は、計画届を事後でも提出する必要がありましたが、特例が拡充されて、計画届の提出も不要となりました。それによって、休業を実施した後の申請だけで済むようになっています。この申請手続きについては後述します。

また、このような特例は9月末までが期限とされていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響が続いている状況を鑑みて、12月末まで延長されています。