ほとんどの会社で発生する業務、立替経費処理。立替経費処理は経理の日常業務の中でも大きなウェイトを占めます。今記事では、経費精算の概要から、処理方法を紹介していきます。

立替経費とは
立替経費とは、会社の経費を役員や従業員が使用する際に一時的に立て替え、その後一定のルールに従って精算を行う一連の流れのことです。
毎回、経費を使用するたびに小口現金から出金したり振込業務を行っていては、申請側・経理側ともに膨大な工数が掛かってしまいます。特に大企業になればなるほど、その工数は計り知れませんね。
そのため、立替経費として社員に立替をお願いし、1カ月に1回精算するなどのルーティン業務に落とし込んでいる会社がほとんどかと思います
経費申請者の処理
経費の立替払いを行った従業員は、立替日・金額・取引内容を記載した立替申請書ならびに、領収書の原本を経理に提出します(記載内容は会社によってアレンジされます)。決済フローが整備されている会社は、提出前に上長の印鑑が必要なことも多いでしょう。
経理側の処理
次に経理側の処理を紹介します。経費申請者から提出があった立替申請書と領収書を照らし合わせて、金額の妥当性を確認します。妥当性が確認できたら、全従業員の経費をエクセルなどに集計、その後会計ソフトに仕訳を切った上で従業員に経費精算処理を行います。
経費精算の期間
従業員に経費を立て替えて頂き、精算するまでの期間はどれくらいが好ましいのでしょうか。一般的に、月末に締めて、翌月の給与に加算して精算している会社が多いと聞きます。
最近はクレジットカード支払いを使用できる機会が増え、従業員が立て替えたと言っても、即時従業員のお財布からお金がなくならず、1カ月程出金までにタイムラグがあることも寄与しているでしょう。
もし明確なルールがない場合は、当該モデルをベースにアレンジしてみましょう。月に数回精算業務を行うのは、経理的コストが増えるためあまりおすすめしません。
経費精算ツールの導入
近年では、SaaS型の経費精算ツールが流行っており、ユーザーは数多くの経費精算ツールから自社に見合ったツールを選択することができます。
代表的なツールとして、Dr経費精算、楽楽精算、MFクラウド経費などがあります。
Webやアプリ上から経費登録、申請(上長の承認)ができたり、最近ではレシート内容の読み取り技術を用いて、自動的に経費内容を登録してくれるサービスも出てきました。また、人別の精算額一覧を作成し、ネットバンクと自動連携される機能もとても便利です。
どのツールも金額的にもそんなに多額ではないので、現行フローの作業的工数コストと比較し、メリットがあれば是非導入しましょう。
ちなみにツールの選び方として、UIはもちろん、会計ソフトに連動しているかどうか、ネットバンクとの連動性などを総合的に勘案すると良いでしょう。UIは経理側より、ユーザ側(従業員側)が使用しやすいツールが良いですね。
立替経費を少なくするために
立替経費は経理業務の効率化に貢献しますが、一方で従業員の金銭的負担は少なからず発生しています。立替経費を少なくするためにどんな手段があるのでしょうか。
①仮払金
仮払金とは、従業員が使用する経費が明確に決まっていない時点で、支払いを行うことを言います。例えば1カ月の海外出張の場合など、トータルの経費が莫大になるケースで、これを従業員が全て立て替えるとなると、さすがに負担が大きくなります。そのため、一定額(例えば200万)を出張前に従業員に渡し、実際出張が終わった段階で実際に使用した経費を取りまとめ、差額を決済する方法が考えられます。とは言え、一時的に多額の資金を従業員に貸し付けることになるので、事前の申請と、会社の承認は必須となります。仮払金を会社として導入する場合は、フローを明確にし、規定に落とし込んだ上で運用するようにしましょう。
②コーポレートカードの権限付与
役員の方は、立替経費で金額が大きくなる傾向にあります。接待や出張が重なり、毎月の金額が10万円を超えることも多々あると思います。一定の役職(執行役員など)の決済権を持っているメンバーにコーポレートカードの使用権限を付与することで、立替経費の金額を少なくすることができます。
③購買部門の整備
購買部門が明確にいない会社では、役員や従業員が立替経費を多く行う傾向にあります。総務や情シス部門を整備し(他部署との兼任でも可)、出張手配や備品手配などを会社主導で行うことで、従業員の立替経費を減少させることができるでしょう。
おわりに
ここまで立替経費についてお話ししてきました。立替経費の業務は、従業員と経理が密接に関わり、かつ毎月ひいては毎日発生する業務です。互いが効率的に申請・精算を行うことができるフローを模索し、規定に落とし込んだ上で、運用するようにしましょう。
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