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【シリーズ】コロナ禍で2020年IPO市場はどう変わったのか?

コロナウイルス感染拡大に伴い、IPO市場において上場承認企業の大量辞退や上場承認社数が一時的ではありますが激減しました。
コロナ禍で2020年IPO市場にどのような影響をもたらしたのかを、データから読み解いてみましょう。

2020年のIPO市場において、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、緊急事態宣言の発令などもあり、国内の景気に大きな影響をもたらしました。IPO市場では例年にない上場承認企業の大量辞退や上々承認社数が一時的ではありますが激減するという事象が起きたのです。

このような環境の中で、IPOがどのような対応をとり、今後どう変化していくのか、現状の定点観測から検討してみたいと思います。

以下は、最近4年間の東京証券取引所における上場承認会社数の推移(月別)データです。

上場会社数だけを見ると、今年3月までは例年に比べ好調ですが、4~5月は例年より減少し、5月は0社という結果でした。しかし6月末における累計の上場会社数では、大幅な減少は見られませんでした。

しかし、3月までの4市場月次累計社数が昨年比で5社、一昨年比で10社増加していること、並びに今年は3月までに上場承認会社のうち辞退会社が18社に及んでいることを考慮すると、コロナ禍がなければ6月末上場実績社数は50社を超える好調な滑り出しだったのではないかと思われます。

このため6月末上場(予定)累計で、例年水準よりやや減少の33社に留まったことは、今後のIPO社数の伸びを考えるうえでは第二波・三波のコロナ禍の影響をどう予測・考慮すべきかは、東京証券取引所の組織改革に加えて大きい要素のひとつだと思われます。

以上のことを踏まえると、2020年1Qの上場会社数(辞退企業を含む)については2月までの上場承認に対して3~4月の承認数が激減していることがポイントになるでしょう。この結果をもとに、今期のIPOはコロナ禍が取引所等の審査にどのような影響を及ぼし、どんな重点を置いた審査内容となったのかが注目されます。

他方、上場辞退会社のうち6月以降で再上場承認された会社が6社あり、その他の辞退企業の復活場上の推移を見守る必要があるでしょう。

さて以下のデータは2020年の上場承認社数と上場社数の月次の分布を表にしたものです。

3月と4月の上場承認社数は4社(予定を含む)あり、テクニカル上場の1社以外は3月2日、4月7日のそれぞれに上場承認され、そのうち3月に1社が、また4月に2社が上場しています。

なお、今年の4~5月は上場社数が激減した印象がありますが、例年5月の新規上場会社は3月決算の影響により社数は減少する傾向にあります。

ただ、今年はそれにも増して4月の承認社数が1社で、5月の上場会社は0社という結果に……。また、上場辞退会社で再上場承認された6社のうち3社が6月に上場することで2Qの上場社数は9社(Pro市場を除き今年度累計社数は33社)となる見込みです。

3~4月に上場承認された、テクニカル上場以外の3社には特徴がありました。

結論から言えば、3社それぞれ収益の安定性です。この特徴は、景気の大きな変動があっても、安定的な収益体質並びにしっかりとした事業基盤を有していると言えるでしょう。

そこで次回は、業績安定性の組立てかたの特徴にそれぞれの工夫がある3社の上場申請Ⅰの部および最近の決算短信から情報を整理しご紹介します。


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著者: 水上 亮比呂

公認会計士

元大手監査法人公開支援部門パートナー。主として公開準備業務や、上場会社の監査・財務調査等に関与。現在は複数のベンチャー企業に社外役員等として関わる。
株式公開支援業務では、 中堅企業・ベンチャー企業を対象として、財務会計制度、利益管理制度及び原価計算制度等の構築や連結決算制度を含むグループ管理のコンサルティング業務並びに会計監査業務に長年従事。関与業種は流通・サービス業、Technology- Media- Telecommunications(TMT)、バイオベンチャー等。法人内のインダストリー活動(コンシューマ及びライフサイエンスグループ(LSG))に関与し、テクノロジー企業における経験も豊富。著書に「株式公開全ノウハウ」(共著 日本経済新聞社)、「経理規程ハンドブック」(共著 中央経済社)、「ベンチャー企業の設立・運営&株式公開がわかる→できる」(共著 ビジネス社)がある。

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