「覚えた単語をすぐ忘れる」「先週やった問題をまた間違えてしまった」⇒自分は記憶力がない⇒だから会計士試験に合格できない!と思う方はたくさんいると思います。ただ、人の脳は一度勉強したことを1時間後には56%忘れ、1日後には74%、さらに1週間後には77%を忘れるとされています。つまり、人の記憶力というのは自分が思っている以上にポンコツなものなのです。今回はそれを理解した上での勉強法を紹介いたします。

自分は記憶力がないと思い込んでいませんか?

自分の記憶力を客観的に理解することが効果的かつ効率的な勉強方法につながります。そこで今回は、この記憶力を前提に勉強方法を決める重要性についてお伝えします。

勉強していて一番傷つき、一番やる気を失うのが自分の記憶力のなさです。

例えば、こんな経験ありませんか?

  • ・昨日覚えたはずの単語がまったく思い出せない。
  • ・1週間ずっと覚えてきた単語を、1カ月で完全に忘れていた。 
  • ・解いたばかりの計算問題を10分後に完全に忘れている。

私自身も、会計士試験勉強をしていて、一番挫折したのが、この自分の記憶力です。

こんなにすぐ忘れてしまうのでは、本試験で全ての論点を覚えているのは不可能なのではないかと思い、何度も会計士試験合格をあきらめかけました。

しかし、これも必ずみんな同じような経験をしているはずだと思ったので、記憶力について少し勉強しました。

みなさんもご存じかと思いますが、エビングハウスの忘却曲線という理論があります。エビングハウスとは、ドイツの心理学者です。エビングハウスによると、忘れるまでの時間と記憶の関係を表した図を「エビングハウスの忘却曲線」と言います。

人の脳は一度勉強したことを1時間後には56%忘れ、1日後には74%、さらに1週間後には77%、1カ月後には79%を忘れるとされています。もちろんこれには個人差がありますが、概ねこのように、「時間が経つほど記憶は減る」というのは事実です。

この事実を知った時、私が極端に記憶力が悪いわけではなく、みんな一緒なのだと分かったので、とても救われた気がしました。したがって、すぐ忘れるという事実を考慮した対策を取り入れた勉強法を考えなければならないと理解しました。

そこで、常に自分の記憶力を探りながら、勉強することにしました。

記憶力を分類した勉強方法

まずは下記のことを実践しました。

  • ①1回覚えた単語は、次の日覚えているか。
  • ②次の日覚えているものは、3日後までは覚えているか。
  • ③3日後まで覚えているものは、1週間は覚えているか。

上記を意識することで徐々に記憶が長期期間維持されることに気付きました。

一方で、いくら完璧に覚えたことでも、1回完全に記憶から無くなってしまったものは、振り出しに戻ってしまうということも分かりました。

また、記憶について、超短期記憶、短期記憶、中期記憶、長期記憶、持続記憶に分類しました。この分類を明確に区分けする必要はありません。感覚を持っておく事が重要です。

なお、この分類は私が定義付けするために勝手に分類した分類方法であり、学術などとは全く関係ありません。

(記憶の分類)

  • ・超短期記憶・・・一瞬で忘れてしまうもの
  •  ・短期記憶・・・1日~3日以内
  •  ・中期記憶・・・3日超~1週間以内
  •  ・長期記憶・・・1週間超~1カ月以内
  •  ・持続記憶・・・1カ月以上

これをうまく利用して、記憶力が振り出しに戻らないように、定期的に記憶を呼び戻しつつ、合格するのに必要な記憶を本試験当日に焦点を絞って、思い出させるための準備をするのが、勉強であるということに気付きました。

人間は、すぐ忘れてしまうという事実から逃げずに、どのように勉強すればいいのかが大事です。

すぐ忘れる自分に対して、(なんで忘れるんだ、この馬鹿!)と言って、またやみくもに記憶して、また忘れる。そのような繰り返しでは成長がありませんし、絶対に合格出来ません。自分の記憶力をコントロールすることが、合格への近道になるのです。