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バックオフィス複業マンの経理実務コラム 第15回「月次業績報告資料作成の実務」

月次業績報告は、会社の経営状態を迅速に把握し、経営課題にタイムリーに対応するために行われます。法令上、求められているのは原則、年に1回の決算ですが(上場企業などは3ヶ月に1回の決算が必要です)、年に1回しか数値管理ができないとなると重要な意思決定に定量的な要素を盛り込むことができず、会社としては好ましくない状況です。よって、月次業績報告では、会社内部で経営管理を目的として資料を作成していきます。今回は月次業績報告資料の作成についてご紹介します。

報告資料を使用するケース

月次業績報告は、取締役会をはじめとして、経営会議やリーダー会議、部門会議、など、あらゆる場面で求められる資料です。そのため、これと言った正解フォーマットは存在せず、各会議体のニーズに沿った資料を作成し、日々改変していく姿勢が求められます。

報告資料の例

報告資料は、各会議体によって求められる内容が異なることを先述しました。さて、具体的にどのような資料を作成するのが好ましいのでしょうか。代表的な報告資料をご紹介します。

①損益計算書

会社の利益状態をリアルに表す損益計算書は外すことのできない資料でしょう。実績値は勿論ですが、予算値と比較した分析、昨年同月と比較した分析を行うことで、より意味のある報告資料となります。

実績値に関しては、会計ソフトから抽出した損益計算書を出すだけだと、見易さ、理解度促進に欠けるでしょう。例えば、売上高であれば商品別、クライアント別の内訳を、人件費であれば部門別の内訳を表示させることで、経営層の理解度が上がるでしょう。規模が大きい会社で部門が分かれている場合は、部門別に採算管理をしても良いでしょう。なお、部門別に数字を管理したい場合は、予算も部門別に作成されていること、会計ソフトに入力された実績値も部門別に会計処理されている必要がありますので留意しましょう。

なお、売上や営業利益が予算未達の場合、差異分析を行い、迅速に対応を検討することになります。その結果、年度予算の修正が必要であると判断される場合は見直しを行います。上場会社では、証券取引所のルールで新たな業績予測値が直近の業績予測値(主に予算値)から一定ラインを超えて乖離すると、業績予想の修正開示をすることが求められています。

②貸借対照表

会社の財産状況を示す貸借対照表も必ず報告資料に入れましょう。損益計算書のみ報告している会社も多いかと思いますが、損益計算書には、現金残や借入残の数値は現れません。いくら利益というひとつの指標が好調でも、売上債権が回収できていなかったら黒字倒産してしまいます。全ての勘定科目を細かく精査する必要はありませんが、現金預金、売掛金、借入金の3つは、少なくとも毎月モニタリングしておきましょう。固定資産投資が多い会社は、固定資産残高や損益計算書の減価償却費も毎月見ると良いですね。現金預金が少なくなったら融資などの資金調達を検討しなければなりませんし、売掛金に未回収債権が存在するのであれば、リストアップして回収に向けた施策を考えなければいけません。

③売上に関する補助資料

①損益計算書の項目でも触れましたが、売上に関する補助資料を入れるのはとても有益です。会社は利益を出して永続的に存続することを望む組織体ですが、利益を出すためにはやはり売上を出さないことには始まりません。その売上を分析し、将来の売上向上施策、引いては明日からの営業アクションに繋げることはとても大事です。

例えば、得意先別、エリア別、商品別、部門別などに売上を区分したり、1人あたりの売上高を算出したりします。総売上高のみならず、区分分けされた売上高を把握することで、どのセグメンテーションが伸びているのか把握し、会社の限りある資源、ヒトモノカネの注力ポイントが分かりやすくなります。

④将来見込みに関する資料

実績報告資料に加え、将来見込みに関する資料をセットで報告すると、より経営の解像度が上がります。受託案件の受注見込みが一例です。この先半年、受注見込みがフルフルで、従業員リソースに空きがない状況でしたら素晴らしいですね。目先の受注案件をこなしつつ、経営層は、半年、1年後の経営戦略をじっくりと練ることができます。一方、この先半年、従業員リソースの埋まりが30%の場合はどうでしょうか。先の経営戦略も大事ですが、直近の受注を増やすべく営業アクションやマーケアクションの戦略を練らないと、この先しばらく赤字の状況が続いてしまいます。将来見込みについて見える化を促進し、経営層が今何をすべきか判断できる資料を意識するようにしましょう。

おわりに

今回は、月次業績報告資料の作成についてご紹介してきました。月次決算はタイムリーに業績を経営層に共有し、経営に生かすための材料のひとつです。タイムリーさ、理解しやすさ、を意識して、報告資料を作成するようにしましょう。


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著者: 篠原泰之

バックオフィス複業マン

1990年生まれ。東京都出身。スタートアップで経営管理業務に従事する傍ら、管理部門構築支援や事業計画策定、執筆活動など、財務経理を軸に幅広く活動している。日商簿記1級保有。

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