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その手があったか 酒井威津善の【儲けのヒント】〜第13回 自社のリソース②〜

2020年3月から始まった新型コロナウィルス感染症による騒動は早くも半年を超え、今やマスクやフェイスシールドの着用が常識化し、すっかり社会風景として馴染みつつあります。
そうした背景もあって、徐々にではありますが、緊急事態宣言以降、非常に厳しい状況におかれていた様々なビジネスが、工夫を凝らし、形を変え、以前の付加価値を提供する息吹が戻りつつあります。
こうした大きな社会変化のとき、そこに生まれる伸び代は想像以上に広大なものがあります。アイデア次第でまだまだチャンスがあるのです。
その可能性は、前回ご紹介した自社が持つリソース(資源)の中にもあります。
その手があったか 儲けのヒント第13回目は、「自社のリソース」その2。5つの実例を交えながら、自社リソースを活かした新しいビジネスチャンスの発見のヒントをご紹介しましょう。

自社リソースとは

自社リソースとは、売上につながる何か、例えばノウハウ、技術、販路、商品・サービス、社内設備といったもののことでした。

例えば、ヤマト運輸の「宅配便」。元々、百貨店などの法人向けに荷物配送をやっていたその経験とノウハウ、そしてトラックなどの既存設備を活かし、ターゲットを法人→個人に切り替え、世界的な大成功を収めました。

試行錯誤を重ね、0から何かを生み出すのではなく、今ある資源をベースにして、アレンジを加えて新しいビジネスを創り上げる。それが最大のポイントです。

自社リソースを活かした5つの実例

1例目は、大丸松坂屋百貨店などを運営するJ.フロントリテイリングのパルコ。

今秋に再オープン予定の心斎橋パルコにシェアオフィス「SkiiMa(スキーマ)」の開設が進められています。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62785520Y0A810C2TJ2000/

商業施設として元々保有しているフロア設備を活かし、他業態を取り入れる形です。

 

既存設備を転用している同様の先例として、カラオケ大手「JOY SOUND」が手掛ける「みるハコ」があります。

「みるハコ」

https://miruhaco.jp/

新型コロナウィルス感染症の広がりによって、従来のカラオケボックスは大きな様変わりを迫られました。そこで、設備を転用して登場したのがこのサービスです。

カラオケボックスには、映像系、音響系の機能設備が整っています。このインフラを活かし、アーティストのライブ・ビューイング、映画、落語からお笑い芸人の公演まで大音量、大画面で楽しむことができるようにしたのです。

 

次は、経験・ノウハウの転用。水道工事会社が創り出したスーツです。

「WORK WEAR SUIT」

https://www.workwearsuit.com/

作業もできて、接客もできる。そのまま遊びにいくこともできる。作業着とスーツの垣根を取り払ったまったく新しい衣服です。

汚れに強く、撥水・速乾・ストレッチ、シワになりにくく、毎日洗える耐久性といった作業着としての機能と、スーツのようなデザイン。工事会社として培われた経験値、ノウハウが活きている好例です。

 

4例目は、“他社”の自社リソースを活かした例です。

規格外の野菜によるフードロス問題の解決を目指すタベモノガタリ株式会社が運営する八百屋の竹下が、地元の神戸新聞販売店と提携し、各家庭に新鮮な野菜を届ける事例です。

https://www.asahi.com/and_M/pressrelease/pre_15106750/

「八百屋の竹下」

https://www.yaoyanotakeshita.com/

以前から新聞離れが叫ばれていますが、その実情は肌感覚以上に切実です。

1997年の5377万部をピークに、2019年時点で3781万部と約30%も減少。当然、新聞販売店も大きな売上減少に見舞われました。一方で、販売店が持つ各家庭とのリレーション、以前ご紹介したいわゆる「ラストワンマイル」はまさにリソース中のリソース。これを活用しない手はありません。

 

最後は、商品の転用です。

関西人が納豆嫌い。それはデータからも明らかです。

都道府県別納豆消費量

https://bit.ly/3jRAL0m

特に大阪の人にとっては、納豆を食べる文化そのものが根付いていません。(筆者のその一人ですが、食卓に納豆が並んだ記憶がありません)そうした明らかに逆風環境の中、驚くような展開をするのが、大阪にある小金庵です。

「納豆BAR小金庵」

https://710-bar.co.jp/

従来の納豆のイメージを覆し、赤しそ、うずら卵、とろろ昆布、青唐辛子味噌など、文字通りバリエーションに飛んだ味の納豆を、おしゃれなスイーツが入っていそうなデザインのカップで発売。茶色一色のイメージだった納豆の印象を大きく変え、大反響を呼んでいます。

もちろん、100%国産の豆や、化学調味料不使用白しょうゆ納豆たれなどを

使うなど、納豆そのものの品質に抜かりがないことは言うまでもありません。

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