■小規模企業共済による5つのメリット

法人・個人問わず経営者なら小規模企業共済に入るべきだとお伝えしました。次の5つのメリットがあるからです。

  • ●メリット1:掛金全額を所得控除で節税

一つ目のメリットとして挙げられるのが支払時の節税効果です。毎年1月1日から12月31日までの間に小規模企業共済の掛金として支払ったお金は全額、「小規模企業共済等掛金控除」として所得税を計算する際の所得額から差し引かれます。

  • ●メリット2:受取時も節税できる

二つ目のメリットとして挙げられるのが受取時の節税効果です。共済金は廃業時や退職時に受け取ることができます。この受け取り方には「一括」「分割」「一括と分割の併用」の3つのパターンがあるのですが、一括も分割も所得税法上は次のように取り扱われます。

  • ・一括…退職所得
  • ・分割…公的年金等の雑所得

一括でもらう共済金は「(収入金額-退職所得控除)×1/2」で計算します。退職所得控除は加入期間が20年を超えるか否かで次のように分かれます。

  • ・加入期間が20年以下…40万円×加入期間(80万円より少ないときは80万円が控除額)
  • ・加入期間が20年超…70万円×加入期間-600万円

公的年金等の雑所得は共済金を受け取る人の年齢によって、原則、次のように扱われます。

  • ・受け取る人が65歳未満…年間受取額60万円までは雑所得は0円
  • ・受け取る人が65歳以上…年間受取額110万円までは雑所得は0円

仮に分割でもらう年間の金額がこれらの額を超えたとしても、所得税はかなり低くなります。まとめると、一括でもらおうと分割でもらおうとかかる所得税はかなり少なくて済むのです。

  • ●メリット3:緊急時にお金を借りられる

以上2つは最近話題のiDeCoにもあるメリットです。ただし、小規模企業共済にはiDeCoにはない強みもあります。その一つが緊急時の融資制度です。事故や病気で入院したり、災害等で被害を受けたりしたときに、掛金の範囲内で低金利の融資を受けることができます。

お金を借りられるのはこのようなときだけではありません。事業の多角化や事業承継、廃業準備などの時も借入をすることができます。さらに、今年2月から多くの事業主を悩ませてきた新型コロナウイルス感染症のように急激に経済環境が悪化し、資金繰りが困難になったときも融資を申し込むことが可能です。

  • ●メリット4:6カ月間過ぎれば解約してもお金がもらえる

小規模企業共済には満期や満額という考え方がありません。「廃業時や退職時の経営者の退職金制度」という名称はついていますが、解約は比較的自由です。廃業・退職でなくても、個人事業の法人成りや会社の解散、病気や事故を理由に解約することができます。

加入期間が最低6カ月間あれば解約で共済金がもらえます。20年は加入しないと解約時の共済金は掛金合計額を下回ってしまいますが、それでもお金を受け取ることができるのです。