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元国税審判官が解説 公表裁決から学ぶ税務判断のポイント(第6回)過年度の申告において売上原価から除外した材料仕入れについて、後続年度において分割計上したことは、国税通則法68条1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に該当するとされた事例【法人税】

過去の誤謬の修正の処理方法については、「過年度遡及会計基準」が適用となる平成23年4月1日の前後で異なりますが、本件は、その前後に係る各事業年度において、税法が予定している「修正の経理」を行わなかった請求人に対し、事実を仮装したという判断が下されました。

国税不服審判所平成31年3月1日裁決(国税不服審判所HP)

1.事実関係

本件は、生コン製造販売業を営む審査請求人(請求人)の法人税等について、原処分庁が、実際の取引がないにもかかわらず恣意的な金額を各事業年度(本件各事業年度)の材料仕入れとしたことは、隠ぺい又は仮装の行為に該当するなどとして更正処分等を行ったのに対し、請求人が、当該会計処理は、過去の事業年度における仮装経理に基づく過大申告を是正する目的で行った修正の経理であり、隠ぺい又は仮装に該当する事実はないなどとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。

請求人は、過去の事業年度において、材料仕入高を実際より過少に計上する会計処理を行ったことにより、帳簿上の買掛金残高が実際の買掛金残高より少なくなっていたことから、この差額(本件差額)を解消するため、本件各事業年度において、決算に余り影響がでない任意の金額で材料仕入高を水増し計上し帳尻を合わせようとしたものである。

2.争点

請求人に、平成28年改正前通則法第68条第1項に規定する「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実があったか否か【他の争点は省略】

3.請求人の主張

請求人には、重加算税取扱指針第1の1において「国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」に該当する場合として例示されているいずれの事実もない。なお、請求人は、過去の事業年度において実際にあった材料仕入れを本件各事業年度において計上したのであり、架空の材料仕入れを計上していない。

また、請求人が行った本件戻入れ処理は、法人税法第129条の規定による、過去の事業年度における仮装経理の修正の経理である。

以下のことから、「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実はなかった。

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