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IPOにおけるJ-SOX導入プロジェクト【第4回】J-SOX担当者にとって最もプレッシャーのかかる「監査法人対応」

この連載では、IPOを目指すJ-SOX導入プロジェクトを担当される方々が、具体的にどのようなアクションをとればよいかを説明します。
IPOを目指す際に、最も苦労する作業といわれるJ-SOX導入。「J-SOX導入プロジェクト」を担当される実務家の方が「何をすれば良いのか」、「どのように進めれば良いのか」といった具体的なイメージを描けるよう、実際のゴールとなる「成果物」、「具体的なアクション」に焦点を当てて話を進めたいと思います。

はじめに

今回は、監査法人との関係について記載します。これまで連載をお読みいただいた方はお気づきかと思いますが、私の連載はJ-SOX導入に係る「技術的な側面」でなく、「人との関係性」にフォーカスして記載しています。その理由はJ -SOXプロジェクトは対内的にも対外的にも人間関係に衝突を起こしやすい性質を抱えていることから、対人関係に起因して、多くのJ-SOX担当者の方が非常に強いストレスを受けるケースが多いためです。皆さんも関係が良くない人と話をする時、強いプレッシャー、ストレスを感じるのではないでしょうか。

このような環境下に長期間置かれるJ-SOX担当者の方に、少しでもプレッシャー、ストレスを軽減するための注意点を提供していきたいと思います。

今回は、J-SOXプロジェクトの中で、J-SOX担当者が最も強いストレスを感じる「監査法人対応」についてです。

なぜ「監査法人対応」が最もプレッシャー(ストレス)がかかるのか

J-SOX対応において、「監査法人対応」は最もプレッシャーのかかる業務です。それは監査法人が「何を考えているのか」が分からない上に、監査法人からOKがもらえないと全社問題になるという大きな責任を同時に負っているからです。監査法人に資料を提出し、「こちらで大丈夫です」、「こちらは問題なので改善してください」のやり取りが繰り返されます。特にプロジェクト初期段階ではJ-SOXの知識が十分でないことが一般的ですので、そもそも何が問題なのか分からないことが多く、どうしていいか分からないためストレスが溜まります。

アメフトのルールしか知らない人がラグビーの試合に参加し、ボールを前に投げて反則をとられているのと同じ状況です。自分では何が悪いのか分かりません。そのうえ監督、チームメイトからは早く点を取って来いと急かされます。打開策もないままストレスだけがかかります。

監査法人との関係をどのように考えるべきか

稀ではありますが監査法人との関係が敵対的となっているケースがあります。過去の様々な出来事等の積み重ねとしてそうした状況に至ってしまっているわけですが、J-SOXプロジェクトにおいて監査法人と良好な関係を維持することは大切だと思います。一番の理由は、監査法人との良好な関係構築が「J-SOX担当者自身のストレス軽減」につながるためです。

監査法人と良好な関係が構築できてない場合、コミュニケーションも疎遠になりがちです。ミスコミュニケーションの積み重ねから最終段階で思いもよらない重要指摘を監査法人から受けるといった事態が生じたりします。重要指摘は監査法人から経営者等へ直接行われるため、J-SOX担当者としては立場がありません。

プロジェクトは監査法人が重要と考える論点から優先的に対応することが大切です。重要論点が未解決のまま期限を迎えた場合はプロジェクト失敗となります。つまり、監査法人が重要と考えている論点、軽微と考えている論点、それぞれについてJ-SOX担当者がしっかり仕分けできているかどうかが重要となります。言語化が難しいレベル感、ニュアンスの把握は直接のコミュニケーションから共有されることが多いため連絡の取りやすい関係の構築はプロジェクトを円滑に進めるうえでも非常に重要です。また、会社の社風、ポリシー、業務フローなどを監査法人に積極的に発信することで、監査法人からの助言も会社にマッチしたものとなっていくことが期待されます。

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