コロナ第一波、第二波での税務調査はどうだったか

国税当局の事務年度は、7月から翌年6月末まで。執筆時点が9月25日なので、令和2事務年度がスタートして約3カ月経過したわけだが、この間、税務署は前事務年度からの解決していない継続事案に関してのみ実地調査を行ってきた。

新規の実地調査はほぼ手を付けておらず、この間、調査官の多くが在宅勤務。在宅勤務と言っても、公務員は個人情報保護の問題もあり書類などの持ち帰りは出来ないため、「基本的には研修か電話対応をしていた」(都内調査官)。

実は、新事務年度スタート時から「9月までは基本的には実地調査を行わない」とする内容の通達がなされおり、10月からの実地調査再開は予定通りだったわけだ。国税庁幹部としては、このままの状況が続くと税逃れの放置につながる可能性があり、10月中の再開が欠かせなかった。

こうした上層部の判断に複雑な心境なのが現場調査官だ。というのも、納税者が新型コロナウイルス感染拡大を理由に断る可能性もあるからだ。「実地調査に伺う法人の代表が高齢を理由に断ってきたら、無理に質問検査権を行使できないと思う」(都内調査官)とこぼす。

税務署の幹部職員も、「もし職場に感染者が出たら、一時的に税務署を閉鎖し、実地調査に関しては実質、出来なくなる可能性もある」と言う。なぜなら、感染者が出たことを理由に、納税者から実地調査を断られる可能性もあるためだ。