宅配業、美容業、ホテル業などのいわゆる「メインストリーム」から枝分かれした「派生」モデルのビジネスには大きなチャンスがあります。前回に引き続き、2つの業界の事例をご紹介します。
10月に入り、激動の2020年も残すところあと4分の1となりました。
政権も変わり、一部税制や制度変更などがある中、私たちの生活や働き方もさらに変わっていきそうな雰囲気です。
こうした変化には必ずビジネスチャンスが潜んでいます。2021年に向け、新たなチャンスを狙いましょう。
第15回は、前回に引き続き、「派生」による事例をご紹介します。
派生とは
派生とは、源となる物事からモノや現象が枝分かれすることを意味します。
ビジネスにおいても同様のものが存在し、例えば、金融機関のサービスから派生した「スマホ決済」などがそれに当たりました。
派生モデルの最大のメリットは、メインストリームでの競争を回避し、「他業界も含め、横断的にビジネスの拡大を狙えること」でした。
前回の美容業における事例に続いて、2つの業界での派生についてご紹介します。
他業界での派生事例
1例目は、クラウドファンディングです。
クラウドファンディング(以下、CF)が登場する前の資金調達は、金融機関などからの間接金融か、投資家や市場からの直接金融の大きく2通りしかありませんでした。
間接と直接には分かれていますが、よく見るとそのほとんどが「法人格」。つまり、BtoBしかなかったわけです。CFの登場は、資金調達の分野にBtoCの形式を新たに登場させたことになります。
CFの一般的なモデルは、MakuakeなどのCFサイトにて、「投資型」「購入型」「寄付型」などの形式でプロジェクトを掲載し、その資金使途を詳細な説明を載せ、資金を調達するものです。
このCFには少なくとも次のような12個の「派生系」が存在しています。

派生の形態としては、
- 目的を絞り込む
- ターゲットを絞り込む
の2通り(もしくは両有)があります。
例えば、1つめの音楽。国内最大の音楽特化型CFサイト 「muevo」(https://www.muevo.jp/)では、MV(ミュージックビデオ)の制作費用や、ライブ開催、楽曲制作などを目的としたファンディングが行われています。
一般的なCFと異なり、ターゲットを「音楽ファン」に絞り込んだモデルです。
同様の事例として、演劇や映画、アートやパフォーマンス向けに特化したMOTION GALLERY(https://motion-gallery.net/) などもあります。
2例目は、出会い支援。いわゆる「出会い系」です。ビジネスとしてちょっと、思われたかもしれません。
しかし、侮ることなかれ。
サイバーエージェントの子会社マッチングエージェントの調査(https://www.matchingagent.co.jp/news/169/)によると、国内のオンライン恋活・婚活マッチングサービス市場は、2018年で392億円、2020年は620億円、さらに5年後の2025年には1060億円規模になると予測されています。
さきほどのCFと同様、大きな市場拡大が見込めるカテゴリーでは、当然のように派生系が誕生します。
旧来からある結婚相談所のほか、「アプリ系」「サイト系」「イベント系」から、婚活の代行をする「代理婚活」といったちょっと驚くような派生系があるのです。

例えば、相席居酒屋の雄、相席屋(https://aiseki-ya.com/)がプロデュースするシングルバー(https://single-aiseki.com/)。これまでの相席居酒屋からさらに派生し、複数人数ではなく、“1対1”にした相席ラウンジなどが好例です。