審判所の判断

審判所は、J取引による落札代金が法人に帰属するか否かについては、

①J取引の態様とX社の事業内容との関係

②J取引を行ったYの地位及び権限

③J取引の相手方である落札者の認識

④落札代金の費消状況等

を総合的に考慮し、実質的には法人がJ取引の主体であり、その落札代金を享受していたとみることができるか否かを検討することが相当であるとした。

それに従い、上記①から④について個々に検討した。

 

①J取引の態様と法人の事業内容との関係について

X社は、もともとインターネットオークションによる商品の販売を行っておらず、J取引に際してもX社の関与をうかがわせる事情のないアカウントが用いられたことから、J取引は、X社が行ったとみられるような外観を有してはいなかった

 

②J取引を行ったYの地位及び権限について

Yは、一定の業務と権限を任された従業員にすぎず、X社の経営に関与する地位にもなかった

また、インターネットを通じて商品を販売したりする権限を与えられたとは認められず、J取引は、X社から与えられた権限の範囲外のものであった。

 

③落札者の認識について

J取引に係る商品の発送は、基本的にYの個人名で行われ、領収書の発行もYの個人名で行われていたことからすると、落札者が、取引の相手方がX社であると認識するような事情は見当たらない

 

④落札代金の費消状況等について

J取引による落札代金は、Yが管理する預金口座に入金され、Yが私的に費消していた。X社が組織としてJ取引に関与し、何らかの利益を得ていたことをうかがわせる事情はない

 

以上のことから、J取引は、Yが主体となって、X社から窃取した商品を販売したものであり、その収益は実質的にもYが享受したものと認められる。よって、J取引による落札代金は、X社に帰属しないものと認められる。

コメント

従業員による横領が税務調査で発覚することは珍しいことではありません。

代表権を有する者が行った不正行為が法人の行為となることについては異論はありませんが、従業員が行った不正行為の場合、法人の行為と同視できるかについて争点となります。今回の裁決は、過去の判例や裁決の考え方に則したものとなっています。

 

インターネットオークションは、簡単に出品することが可能で商品の横流しなどの不正取引に悪用されやすいと言われています。国税当局も本件のようなインターネットを介した取引について、情報収集・分析を進めています。


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