令和元年の民間給与は上がったのか?それとも下がったのか?国税庁から発表された令和元年分民間給与実態統計調査によると、給与所得者の平均給与は約436万円で、平成29年の平均給与441万円から1%ほど減少している。コロナ禍の前の統計だけに、今後の日本経済を考えていくにあたって注目される統計だ。ちなみに、民間給与が前値比で減少したのは7年振りだ。

新型コロナウイルスの影響で標本事業者数が減少

国税庁が実施している民間給与実態統計調査は、民間給与の実態を明らかにすることを目的として行われる調査で、国はその調査結果を基にして税収の見積もりや租税負担の検討、税務行政運営などの基本資料作成といったことを行っている。この調査では正規雇用、非正規雇用を問わず幅広く調査されるなど、より実態に近い給与に関する調査結果が出るよう工夫されている。

今回で71回目となる令和最初の調査では、標本事業所1万8529所及びその事業所に勤務する給与所得者24万3018人から回答を得たもので、元年分は回答事業所の負担軽減の観点から、事業所における給与所得者の抽出率の変更を行うとともに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言発令を踏まえ、標本事業所への照会や督促を中止したことから、調査票の回収率が例年よりも低下した。

民間事業所の給与所得者数は7年連続最多を更新

令和元年12月31日現在、国家公務員や全従事員について源泉所得税の納税が無い事業所の従事員、労働日に給与額が算定され支給を受けるものを除いた民間事業所に勤務する給与所得者は、5989万7千人(対前年分比78万人増)と7年連続で過去最多を更新しており、アベノミクス等による雇用の改善は引き続き図られていることが伺える。給与所得者の増加により、昨年中に民間の事業所が支払った給与の総額も231兆6046億円(同8兆563億円増)とこちらも7年連続して過去最高を更新した。源泉徴収義務者数は354万1千件(同5千件増)、源泉徴収所得税額は11兆1395億円(同744億円増)と3年連続で10兆円を超えた。