新型コロナウイルス感染症の影響で、面と向かって人に会う回数が減少した代わりに、Web会議での打ち合わせやチャットなどでのコミュニケーションが増えたという方が多いのではないでしょうか。チャットやSNSなどテキストでのやり取りで相談を受けた場合、込み入った話は電話やWeb会議などでするにしても、ある程度はそのままテキストでやり取りする場合もあるかもしれません。そこで、チャットなど文字でのコミュニケーションで、相手に寄り添うにはどうしたらいいかを考えていきます。

相談を受けた場合、その相談が深刻なものであるほど、深い悩みを持つ相手に寄り添った対応が重要になってきます。対面であれば、その人の様子や表情から気持ちを推し量ることもできます。しかし、チャットなどでは、相手の顔や表情が見えないため、相談の深刻さが分かりにくくなります。また、こちらの表情も見えないため、どういう意図で言ったのかも伝わりづらくなります。何か話されて「そうですか」と返した場合、自分では感心したつもりで書いていても、受け取った方はそっけなく対応されたように感じるかもしれません。特にチャットでは短文で端的な表現になりやすいため、十分に説明しづらく誤解される可能性も高くなります。

そのように、テキストでは圧倒的に相手に関する情報量が少なくなります。服装や髪型、表情なども分からず、文字だけの情報となります。また、こちらから発信する情報も文字だけになりますので、同様に相手が受け取る情報量も少なくなります。

自分が誰かに思い切って相談したときに、にこやかな表情で聴いてくれてそれだけで安心したという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。テキストでのコミュニケーションは、どのようにして相手に寄り添うことができるか。筆者は、メールでのカウンセリングを行ってきた経験がありますので、これに関する気づきをお伝えします。

■さまざまな可能性に頭や気持ちを巡らせる

テキストでのコミュニケーションの場合、相手がどのような意図で言ったのか見えづらいです。対面でのやり取りでも相手の意図が分からないことがありますが、文字だけだとなおさらです。「仕事をしたくない」といっても、仕事のやりがいを感じないのか、仕事上のトラブルを抱えているのか、人間関係に問題があるのか、新しい環境になれていないのかなど要因はさまざまありえます。相手が言っていることの背景に何があるのかを考えるのは、対面での相談でも大切ですが、相手が見えない文字でのコミュニケーションでは一層重要になります。