Deloitte Touche Tohmatsu、Pricewaterhouse Coopers、Ernst & Young、KPMG ― グローバルに展開する4つの会計事務所をあわせ、「4大国際会計事務所」「BIG4」と称します。会計士のみならず、会計に関わるあらゆる人々にとって大きな存在であるBIG4について、今回はランキング形式でご紹介します。

1.BIG4とは

日本の監査法人業界では、有限責任監査法人トーマツ(以下トーマツ)、有限責任あずさ監査法人(同あずさ)、EY新日本有限責任監査法人(同新日本)、PwCあらた有限責任監査法人(同あらた)の4法人をあわせて「大規模監査法人」「4大監査法人」などと呼びます。これら4法人の監査シェアは約84%にもなります(売上ベース *1)。

一方、世界に目を向けると、4大監査法人はそれぞれ国際的な会計事務所と提携関係にあり、監査ツールや監査マニュアルの他、統一的なロゴマークの使用や人材交流などもおこなわれています。提携関係をまとめると以下になります。

これら4つの会計事務所は、「BIG4」「4大国際会計事務所」などと呼ばれ、日本の4大監査法人と比べても大きな存在感を放っています。

 

(1) 5兆円規模の売上

直近の売上を見ると、Deloitte Touche Tohmatsu(以下DTT)は476億ドル、日本円で約5兆円規模です(*2, 3, 4)。監査業務に限定しても、DTTは99億ドル(約1兆円)であり、日本の4大監査法人の監査証明業務収入が800憶円前後であることを鑑みると、その大きさが分かります。

 

(2) 圧倒的な監査シェア―米国S&P500採用企業の99%を占める

監査業務のシェアを確認してみます。モニタリングレポートでは「主要な上場会社における4大グローバルネットワークの監査業務シェア(会社数ベース)」として以下のようにまとめています(*1)。

* 令和2年版モニタリングレポート 主なポイント P2、公認会計士・監査審査会

アメリカではS&P500採用企業の99%、イギリスではFTSE350採用企業の97%を占めており、日本以上に監査業務の独占が進んでいることが数字で示されています。

 

(3) 150か国以上のグローバル拠点

続いてグローバル展開の状況を見ておきます。PricewaterhouseCoopers(以下PwC)は全世界155か国に拠点を展開しており(*5)、国の総数196か国(*6)の3/4以上に拠点があることになります。

参考までに、総合商社である三菱商事株式会社のグローバル展開の状況は「世界約90の地域・国に広がる」となっています(*7)。日本における代表的なグローバル・カンパニーである三菱商事と比べても、PwCがグローバルに展開している様子がうかがえます。

世界一周旅行をしていた頃、オーストラリア・メルボルンの中心にそびえ立つPwCのビルを見て感慨深いものがありました。改めてPwCの拠点リストを見てみると、訪れた国・都市の多くを見つけることができます。カリブ海のキュラソーやアフリカのモザンビークにもオフィスがあるのを見て、懐かしい気持ちにさせられました。

 

(4) 就職ランキングでも上位にランクイン

別の角度からBIG4を見てみます。
世界トップクラスの教育機関で経営学等を学ぶ学生による企業ランキング「World’s Most Attractive Employers 2020」(Universum Global)によると、5位にDTTがランクインしています。他のBIG4に関しても、7位Ernst & Young(以下EY)、8位PwC、12位KPMGとなっており、全て上位につけています(*8)。

* World’s Most Attractive Employers 2020をもとに筆者作成

トップテンを見てみましょう。
1~4位はアメリカのビッグ・テックカンパニー。いずれも今を時めく大企業であり、4社とも時価総額1兆ドルを超えた経験を持ちます(なおGoogleは持株会社のAlphabetが上場)。5~9位はBIG4と米系金融機関、10位は化粧品メーカー・ロレアルとなっています。そうそうたる顔ぶれの中にBIG4が含まれているのを見て、驚く人もいるのではないでしょうか。

私の記憶する範囲では、日本の監査法人、ないし関連するコンサルティングファーム等が同様の総合就職ランキングでトップテンに入ったのを聞いたことがありません。一方、BIG4はこの種のランキングでは上位の常連であり、世界的な知名度は非常に高いと言えそうです。

それではBIG4のランキングを見ていきます。