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4大監査法人決算分析 第1回 有限責任監査法人トーマツ

4大監査法人の決算分析シリーズ。第1回目は、業務収入ベースで業界首位の有限責任監査法人トーマツ(以下トーマツ)について、直近5年度の決算を分析していきます。

1.業務収入

まずは業務収入、いわゆる売上高の推移から見ていきます。

(1) 業務収入推移

* 「業務及び財産の状況に関する説明書類」(*1)をもとに筆者作成。なお2017年度は8か月の変則決算。また特に断りがない限り、百万円単位切捨にて表記(以下 同)。

決算期変更により8か月の変則決算となった2017年度を除き、業務収入はきれいな右肩上がりになっています。2016年9月期からの年平均成長率(CAGR)は+4.4%となっており、4法人合計の業務収入CAGR+3.4%を上回っています。
また2018年度以降は継続的に1,000億円を超え、トップとなっています。

続いて、業務ごとに収入推移を見てみます。

(2) 監査業務収入
① 監査業務収入推移

2016年度は700億円程度でしたが、2020年度は800億円を超えています。監査業務のCAGRは3.5%と、4法人合計の監査業務収入CAGR 3.2%を上回っています。
監査業務収入トップの新日本とはまだ差がありますが(2020年度860億円)、その差は縮まりつつあります。

クライアント数と1社あたりの単価に分けてみてみます。

②監査クライアント数推移

監査業務収入とは異なり、クライアント数は右肩下がりです。2020年5月末においては、4期前の2016年9月末と比べると131社減少(△4%)となっています。

③1社あたり監査業務収入推移

* 1社あたり監査業務収入=監査業務収入÷(期首期末の平均監査クライアント数)

1社あたりの単価推移は監査業務収入と同じトレンドになっています。2020年度を2016年度と比べると20%以上の増加となっており、継続的に単価が上昇していることが分かります。

以上より、監査業務収入については、クライアント数減少を単価上昇の影響が上回り、全体として収入は増加していると言えます。

(3) 非監査業務収入
①非監査業務収入推移

監査業務同様、こちらも右肩上がりとなっています。2016年度と比べると76億円増加し(+29%)、CAGRは+6.6%となり、4法人合計の非監査業務収入CAGR+3.8%を超えています。なお変則決算の2017年度を除き、非監査業務では継続的にトップとなっています。

非監査業務についても、クライアント数と1社あたりの単価に分けてみてみます。

②非監査クライアント数推移

でこぼこはありますが、ここ5年間で見ると2016年度をピークとして、その後は3,000社前後で推移しています。2020年度と2016年度を比べると約600社減(△16%)とかなりの幅で減少していることが分かります。

③1社あたり非監査業務収入推移

* 1社あたり非監査業務収入=非監査業務収入÷(期首期末の平均非監査クライアント数)

監査業務同様、1社あたりの単価は上昇傾向にあります。2020年度を2016年度と比べると約50%の大幅な増加となっています。

以上より、非監査業務についても、クライアント数減、単価アップによる収入増というトレンドになっています。

トーマツの業務収入についてまとめると、監査/非監査いずれもクライアント数を絞りつつ、報酬の増加や高単価の契約獲得に注力することで業務収入を増加させていると言えます。このことは、比較的単価の低いIPO監査実績(2020年)で4位に留まっていること(*2)、またここ数年、キャノン、リコーなど大企業の監査契約を獲得していることにも表れています。

次に費用に目を向けてみます。

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