更正の請求期限である5年を超過して、更正をすべき理由がない旨の通知処分の取消しを求めた審査請求人に対し、当初の更正請求書に記載しなかった事由を違法事由として、いわゆる「後出しジャンケン」のように新たに主張することはできないという判断が下されました。

1.事実関係

本件は、請求人[1]が、所得税の申告において、①事業所得の収入金額が過大に計上されていること及び②必要経費に計上漏れがあることを理由として、さらに、消費税等の申告内容も併せて更正の請求を行ったところ、原処分庁が、事業所得の収入金額、必要経費の金額に誤りはなく、また、消費税等についても更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったのに対し、請求人がその一部の取消しを求めた事案である(以下、消費税に係る記述は省略)。

請求人は、平成23年分の所得税の法定申告期限内に確定申告しなかったため、原処分庁職員の調査を受け、平成26年5月8日に、平成23年分の期限後申告書を原処分庁に提出した。その後、平成29年3月13日に、請求人は、平成23年分の事業所得の総収入金額のうち一部の顧客に係る収入(本件収入1)について、同年分の収入にならないとして更正の請求をしたところ、原処分庁は、当該更正の請求に対し、平成29年9月11日付で更正すべき理由がない旨の通知処分(本件通知処分)を行った。これに対し、請求人は、再調査の請求・棄却を経て、平成30年4月6日、本件通知処分を不服として審査請求を行ったが、その際、予備的に、更正請求時の主張にはなかった別の顧客を含めた収入金額(本件収入2及び本件収入3)が誤っていると主張した。


[1] 公表裁決では請求人の営む事業の内容は明らかにされていない。

2.争点

平成23年分に計上すべき本件各収入の金額はいくらか(他の争点は省略)

3.請求人の主張

平成23年分に計上すべき本件収入1(顧客113名分)の金額は零円である(更正の請求における主張と同じ)。仮にこの主張が認められないとしても、本件収入1のうち本件収入2(顧客28名分)及び本件収入3(顧客48名分)については、平成23年分の収入ではない。