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2020年版 4大監査法人決算分析 第4回 PwCあらた有限責任監査法人

4大監査法人の決算分析シリーズ。2020年版最後の第4回は、規模では劣るものの、業務収入を伸ばし続けているPwCあらた有限責任監査法人(以下PwCあらた)について、直近5年間の決算を分析していきます。

1.業務収入

(1) 業務収入推移

*1 各年度の「業務及び財産の状況に関する説明書類」をもとに作成。また特に断りがない限り、単位は百万円(以下 同)。

業務収入の推移を見るときれいな右肩上がりとなっており、増収が続いていることが分かります。この5年間で収入は1.5倍に増加しており、成熟マーケットと言える監査業界においては急成長と言えるのではないでしょうか。
5年間の年平均成長率(CAGR)は10%を超え、4大法人合計の業務収入CAGR 3.4%を大きく上回っています。

続いて、業務ごとに収入推移を見てみます。

(2) 監査業務収入
①監査業務収入推移

* 1社あたり監査業務収入=監査業務収入÷(期首期末の平均監査クライアント数)

2016~2017年度にかけて+42億円(+24%)と大きく伸び、その後も毎年10~20億円程度、増加しています。CAGRで見ると+10.5%と、収入全体の伸びをやや上回っています。

監査収入増加の要因について、クライアント数と1社あたりの単価に分けてみてみます。

②監査クライアント数推移

2016~2017年度に+198社(+21%)と大きく増加した後は、横ばいもしくは微増となっています。2020年度と2016年度を比べると+252社(+27%)となっており、2016~2017年度を除くと、監査収入の増加ほどクライアント数は伸びていないことが分かります。

2016~2017年というと、EY新日本への金融庁の処分が下った後であり、PwCあらたがEY新日本から流出した監査クライアントの受け皿の1つとなっていたことがうかがえます。

続いて1社あたりの単価を見てみます。

③1社あたり監査業務収入推移

* 1社あたり監査業務収入=監査業務収入÷(期首期末の平均監査クライアント数)
* 2016年度は平均クライアント数不明のため記載していない

単価の面では大きな変動はなく、横ばいもしくは微増となっており、4年間で+4%にとどまります。ただし、公開されているデータから推測するに、上記表にはない2016年度に単価がある程度増加していたことが想定され、これは当時の新規クライアントとの契約が影響したのかもしれません。

以上より、監査業務については2016~2017年度にかけてクライアント数が大きく増加し、また単価もある程度増加したことが推測され、その後はペースを落としながらも拡大を続けています。結果としてここ5年間で監査収入は+50%となっており、大手の中では突出した成長を見せています。

(3) 非監査業務収入
①非監査業務収入推移

監査同様、右肩上がりのグラフになっており、非監査でも成長が続いていることが分かります。特に直近2020年度の伸びが大きく、前期比+40億円、率にすると+17%と大幅な増収になっています。ここ5年間のCAGRは+9.7%と収入全体の伸びに比べると後れを取っていますが、4大法人合計の非監査業務CAGR 3.8%は大きく上回っています。

非監査業務についても、クライアント数と1社あたりの単価に分けてみてみます。

②非監査クライアント数推移

2019年度まではクライアント数が増加していますが、2020年度は一転して51社減となり、前期比△4%となっています。2020年度は増収となっていますが、クライアント数は逆の動きをしています。しかしながら5年間で見ると188社増加(+17%)と順調に推移していると言えます。

③1社あたり非監査業務収入推移

* 1社あたり非監査業務収入=非監査業務収入÷(期首期末の平均非監査クライアント数)
* 2016年度は平均クライアント数不明のため記載していない

単価についても業務収入と異なる推移になっています。2017~2019年度にかけて概ね横ばいもしくは微増でしたが、その後2020年度に2,970千円アップ(+16%)と大幅な上昇を見せています。4年間では3,084千円増加(+16%)となっています。

以上より、2019年度まではクライアント数の増加が、2020年度においては単価の上昇が非監査業務の増収に貢献していたことが分かります。

業務収入についてまとめると、監査、非監査ともに大きく成長しており、またクライアント数、単価の両面でバランスのよく上昇していることがうかがえます。

PwCあらたはもともと非監査に強く、2020年度はトーマツに継ぐ2位となっています。一方で監査収入は他の大手法人の1/3程度に過ぎず、監査シェアは見劣りします。とはいえここ5年間の数字を見る限り、監査業務も順調に伸ばしています。設立の経緯、また比較的歴史が浅いことなどから、収入規模では未だ他の4大法人に劣るものの、成長率では圧倒的に上回っており、年々シェアを拡大している様子がうかがえます。

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