2.業務費用
(1)業務費用推移

収入の増加に合わせて費用も増加していますが、5年間での増加率は54%となり、増収率47%を超えています。業務量の増加に対応するための人材コスト、監査のデジタル化等に対応するためのIT関連費用などの増加が想定されますが、実際はどのような費用が増加したのでしょうか。まずは業務費用の7割を占める人件費を見てみます。
(2) 人件費推移

業務費用と同様の推移になっていますが、人件費の増加率は46%と費用全体の増加幅に比べて抑えられており、また増収幅と同程度であることから比較的コントロールされているように見えます。
人件費のトレンドを紐解くため、人員数と1人当たりの単価に分けてみてみます。
(3) 人員数推移

* 「業務及び財産の状況に関する説明書類」は2017年度から開示されており、2016年度の人員数は不明のため記載していない
2019年度までは増加していますが、2020年度は191人減となっています。2020年度の人員内訳を見ると、「その他の事務職員」が397人減(2019年度629人→2020年度232人 △63%)と大きく減少した一方、「監査補助職員」が153人増(2019年度1,000人→2020年度1,153人 +15%)となっており、配置の転換等があったのかもしれません。なお社員、公認会計士等は概ね増加傾向にあります。
(4) 一人当たり報酬給与推移

* 1人当たり報酬給与=報酬給与÷期首期末の平均人員数
* 2016、2017年度は平均人員数不明のため、記載していない
3期の比較になりますが、2019年度に850千円減少(△10%)と大きく減少したものの、翌2020年度には再び上昇し、2018年度と概ね同水準となっています。1人当たり単価の変動については、人員構成の変化に加え、後述の利益変動の影響、特に2018年度決算が赤字寸前であり、翌2019年度は人件費を抑制しようとした可能性などが要因として考えられます。
(5) その他
項目別の推移を見てみます。

概して費用は増加傾向にありますが、上述の人件費を除くと、「IT機器費用及び通信費/IT及び通信費」「その他業務費用」の増加が目立ち、ここ5年間でそれぞれ12億円増(+132%)、48億円増(+74%)となっています。「IT機器費用及び通信費/IT及び通信費」については、他法人同様、DX、AI等への対応のためと想定されます。「その他業務費用」については、「外注費」33億円増(+96%)が主な増加要因となっています。他法人同様、正職員で対応しきれない業務については外部への業務委託で対応しているようです。
なお2017年度に増加している賃借関連費用については、主に東京事務所の移転によるものと考えられます。
業務費用についてまとめると、7割を占める人件費については、社員や公認会計士等、業務に直接関連する人員数増によりコストが増加し、また人件費には含まれていない外注費も増加しています。その他、固定費的に発生すると想定される賃借関連費用、そして監査のデジタル化等に対応するためIT機器費用及び通信費/IT及び通信費も増加傾向にあります。後述しますが、PwCあらたは業務収入が大きく増加している一方、利益はそれほど伸びておらず、その原因はコストにありそうです。



