5.その他
ここまで損益計算書を中心に見てきましたが、それ以外で金額的に大きな項目をとりあげます。

(1) 投資有価証券
2016年度以降、50~60億円程度が貸借対照表に計上されており、総資産が250~400億円程度であることを考えると、かなりの割合が投資有価証券で占められていることになります。なお2016年度に事業再編の対価として取得したPwC Holdings No.21 LLCの出資持分53億円はここに含まれています。
(2) 敷金及び保証金
こちらも総資産のかなりの割合を占めており、5年間で2.5倍程度に増加しています。2017年度の増加は東京事務所移転にかかるものと推察されますが、2020年度に20億円ほど増加している内容は不明です。
(3) 長期貸付金
金額こそ大きなものではありませんが、2018年度以降、6~7億円の長期貸付金が計上されています。他法人でも長期貸付金や関係会社社債といった、監査法人の業務とは直接関係がなさそうな勘定科目が計上されていますが、PwCあらたにも同様の項目があるようです。
(4) 配当
PwCあらたは無配です。
最後に

4大監査法人のうち、規模では最小ながらも急成長しているPwCあらたの決算を5期にわたって見てきました。監査業界が一連の会計不正問題に大きく影響を受ける中、得意の非監査に加え、監査業務でもクライアント数を増加させ、また単価のアップも伴いながら順調に業務収入を伸ばしています。利益面で見ると、2018年度に大幅な減益があったとはいえ、それでもコンスタントに黒字を確保し、4大監査法人の中では断トツの利益率を誇るPwCあらたですが、2021年度以降も引き続き高い成長を続けられるか、そして増加する人件費、IT関連費用などをうまくコントロールして高利益体質を維持できるかが注目されます。
【脚注・出典】
*1 各法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」については以下を参照
有限責任監査法人トーマツ:
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/audit/stakeholder.html
有限責任あずさ監査法人:
https://home.kpmg/jp/ja/home/about/azsa/stakeholders.html
EY新日本有限責任監査法人:
https://www.shinnihon.or.jp/about-us/our-profile/stakeholder/
PwCあらた有限責任監査法人:
https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/assurance/assets/pdf/public-inspection-2020.pdf
*2 2020年度実績はPwCあらた55%に対し、トーマツ65%、あずさ70%、EY新日本75%(各法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」より、社員・公認会計士・公認会計士試験合格者等の合計を全人員数で除して算出)
【参考】
「令和2年 モニタリングレポート」、公認会計士・監査審査会、
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20200714/2020_monitoring_report.pdf
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