海外資産は厳しい調査 非違件数は過去最高に

国税当局が無申告事案とともに積極的な取組みを行っているのが、1)相続⼜は遺贈により取得した財産のうちに海外資産が存するもの、2)相続人、受遺者⼜は被相続人が⽇本国外の居住者であるもの、3)海外資産等に関する資料情報があるもの、4)外資系の⾦融機関との取引があるもの等の「海外資産関連事案」。海外資産関連事案に関しては、納税者の資産運⽤の国際化に対応して相続税の適正な課税を実現するため、あらゆる機会を通じて収集した様々な資料情報を活用して海外取引及び資産の保有状況を的確に把握した上で調査等を進めている。具体的には、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく⾮居住者⾦融口座情報)などを効果的に活⽤している。

同事務年度では、1008件(同1202件)に調査を行い、過去最高となる149件(同144件)から77億円(同59億円)の申告漏れ課税価格を把握しており、件数は平成29事務年度から増加傾向にある。1件あたりでみると、前年より1129万円多い5193万円に達し、相続税調査全体の申告漏れ課税価格の約1.5倍となっている。申告漏れ財産では、「現金・預貯金等」が全体の4割を占め最も多く、財産の所在は「北米」と「アジア」で全体の7割を占めている。

また、重加算税が賦課された件数は25件と前事務年度から17件も増えており、その申告漏れ課税価格も1億円から11億円と11倍に増加した。