国税庁から2021年末に公表された令和2事務年度相続税調査等の状況によると、所得税や法人税調査同様に、実地調査で調査件数等が大幅に減少した。一方で、的確な調査選定を行った結果、1件あたりの追徴税額が過去10年間で最高に。また、「簡易な接触」も1件当たりの追徴税額が、事績を集計して以来、最高となったことがわかった。

調査件数等は1年を通じたコロナの影響で減少

令和2事務年度の調査等の件数は1万8740件で前事務年度(1万9267件)と比べて2.8%減少している。このうち実地調査件数は、新型コロナウイルスに伴う調査制限により昨年に比べ半数超となる52%も少ない5106件と低調となった。調査の結果、87.6%にあたる4475件から1785億円の申告漏れ課税価格を把握し、加算税を含め482億円を追徴している。

前事務年度と比べると、こちらも申告漏れ件数で50.7%、課税価格で41.4%、追徴税額で29.3%の減少となっているが、非違割合は2.3ポイント上昇しており、調査対象の選定が前事務年度以上に的確だったことが伺える。

このように各種係数が前事務年度に比べて減少する中、実地調査1件当たりでは申告漏れ課税価格3496万円(前事務年度比22%増)、追徴税額943万円(同47.3%増)。また、申告漏れ額が多額、故意の相続財産の隠ぺいなどにより重加算税を賦課した件数は719件(同53.3%減)で、その重加算税賦課対象額は319億円(同44.1%減)。重加算税賦課割合(重加算税賦課件数719件/申告漏れ等の非違件数4,475件)は16.1%(同0.9ポイント減)だった。

(資料:国税庁「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」より)