今回紹介する事例は、「国外財産調書」と「財産債務調書」の双方の提出義務を負うにも関わらず、国外財産調書を提出せず、財産債務調書のみを提出していたケースにおいて、税務調査で国外財産に係る申告漏れを指摘された場合の過少申告加算税の加重措置の適用が争点となったものです(令和1年6月27日、非公開裁決)。

事実関係

  1. 居住者Aは税務署の調査を受け、韓国法人X社の株式に係る配当所得が申告漏れとなっていたとの指摘を受け、所得税の修正申告書を提出した。また、Aは国外財産の合計額が5,000万円を超えたいたにも関わらず国外財産調書を提出していなかったため、修正申告書ととともに国外財産調書を期限後提出した。
  2. 税務署は、Aが国外財産調書を提出期限までに提出していなかったとして、過少申告加算税を5%加重して賦課決定処分をした。
  3. それに対してAは、本件韓国法人の株式については、「財産債務調書」に記載して提出期限までに提出していたのであるから、過少申告加算税のうち、韓国法人株式の配当所得に対する部分については、財産債務調書の加算税軽減措置(5%軽減)が適用されるべきであると主張して審査請求した。

争点

過少申告加算税のうち、韓国法人株式の配当所得の部分について、国外財産調書の5%加重措置が適用されるのか、財産債務調書の5%軽減措置が適用されるのか。