海外子会社の増資を引受ける場合、「有利発行」に該当しないかどうかの確認が必要となります。もし、海外子会社の新株発行が「有利発行」に該当する場合には、日本親会社に受贈益の課税が行われるリスクがあります。今回紹介する事案は、タイ子会社の増資を額面で引き受けたことが有利発行に当たるとして、日本親会社に受贈益課税が行われた事案です(東京地判平22.3.5)。

事案の概要

この事案は、日本の総合商社であるX社が、タイに所在する関連会社2社(A社、B社)が発行した株式を額面金額(1株1,000バーツ)で引き受けたことについて、本件株式の発行は有利発行に該当するとして、時価と払込価額との差額が受贈益として課税された事案である。

本件において、納税者は、以下の主張をした。

  • ・タイ民事商事法典上、新株発行は額面発行が原則であり、額面超過額による新株発行を可能とする定款の定めがなかった。
  • ・発行価額決定日の時価の算定に当たっては、タイのボラティリティ(株価等の価格変動性)等を考慮すれば、いまだ確定してない中間決算や四半期決算の経営管理資料の数字を用いるべきではなく、直近の期末確定決算書の数字に基づいて判断すべきであり、それによると、本件各株式の公正な発行価額が1,000バーツ未満となることは明らかであるから、有利発行には当たらない。